できそこないの悩み3 ページ19
「なんで、二人でこんなところに…？」
私も全然わかんないんです
変な汗をかいてしまう。
エレベーターは閉まったが、行き先ボタンを押していないためこの狭い密室で重苦しい空気になった。
「Aさんがお出かけするのに私も同行させてもらったのです。それ以上の意味はありませんよ」
その通りですと、首を縦に振る。
「あなたがAさんについていく意味なんてあります…？」
「それをなぜあなたが気にしているのですか？」
苦しい…
この2人ってこんなに仲悪かったっけ。
新鮮な空気が吸いたい。
するとエレベーターの扉が開いた。
どうやら外から人が入ってきたようだ。
「…あなたには気をつけますよ」
安室さんは沖矢さんにぽつりと告げた。
「えっ、安室さん…！？」
すると安室さんは私の手を掴んでエレベーターから出た。
どんどん歩いていく安室さん。
手の力は緩みそうにないので、振り返りエレベーター内の沖矢さんをみる。
「お気をつけて」
声はとどかなかったが、沖矢さんはそう言ったような気がした。
それから安室さんに引っ張られていると、いつの間にか建物の外に出ていた。
「…すみませんAさん。あなたの休日なのだから僕が口を出すことではなかった。ましてや楽しいひとときを邪魔してしまうなんて」
今までにないくらい悲しそうに言う安室さん。
「大丈夫ですよ。沖矢さんも気にしてなかったっぽいので」
「そう、ですか…」
何か心が不安定で、強そうに見えるが本当はすごく脆かったりして。
「…私安室さんのこともっと知りたいです」
「えっ？」
「次は私が安室さんのこと知っていきたいです、知りたくなりました」
少しきょとんとした顔をみせると、ふふっと笑う安室さん。
「嬉しいです。今からお時間ありますか？よかったら喫茶店にでも」
私はもちろんと告げ、まだ掴まれている腕の事も言ってみた。
安室さんは少し慌てたように手を離し、ほんの少しだけ頬が赤らんでいた。
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作者名：ねむ | 作成日時：2018年4月18日 23時
