仲良く ページ13
side 中村_
｢あれ、姫歌ちゃん何してんの?そんな所で。｣
｢ん。莉桜ちゃん。｣
放課後、表でぽけっと座っている姫歌ちゃんが居た。
｢あれ｣と姫歌ちゃんが指さした。
その方向には、殺せんせーと暗殺サッカーをしている男子達。
ははーん、なるほどね。
｢彼をお待ちってわけですかー。｣
｢うん。めずらしく皆と遊んでるみたいだから。｣
あまり表情がない顔で、こっちを見ながら言った。
｢へー、めずらしくまだいると思ったら……。｣
ぽすっと彼女の隣に座る。
隣では、何故座ったのかと首を傾げてるけど…。
｢そーいやさァ……聞きたかった事あんのよね。｣
｢そう。｣
｢………。｣
｢……?なに?｣
｢ハァ……。｣
いつも思う。
初めて会話をした時からずっと。
｢姫歌ちゃんってさ、ほんっとにカルマ以外のやつには冷たいっていうか、あんまり親しくしないよね。｣
彼女の返答一言一言がかなり冷たい。
男女限らず、クラスの皆に対して。
｢………そう?ならごめん。個人に興味ないから…。｣
｢最後の一言はいらんよ。｣
余計な一言だわ…。
……確かに姫歌ちゃんは本当に興味がない、と態度に出てるな。
でも茅野ちゃんとは色々あったからか、最近格段と仲がいい気がする。
｢あの子とはどーなのよ。｣
｢あの子………ああ、カエデ?｣
｢そっ。｣
｢カエデとは仲良い方だとは個人的に思ってるよ。｣
｢ありゃ意外。てっきりあたしらとそんな変わんないかと思ってた。｣
｢なんでよ。酷いなぁ。｣
仲良いならいっか、あたしが口挟まなんでも……。
最近は放課後遊んだりする事も増えたみたいだし。
彼女に仲良いと思っている子がいればそのうち皆と仲良くなれんでしょ。
｢あたしは待ってるからね、あんたと仲良くなれる時を。｣
そう言ったけど返事がこない。
……仕方ない、か。
諦めて帰ろうと、立ち上がって帰路に着こうとした時、ふいに小さく背後から声が聞こえてきた。
｢待っててよ。頑張るから。｣
その言葉に、ふっと笑いが込み上げてくるのを耐えて、彼女へ向き直る。
｢約束だかんねっ。忘れんなよー!｣
それだけ言って帰り道を小走りで行く。
いつか仲良くなれる日を思い浮かべながら。
。
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