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ピアスの理由__。 ページ5

side kou_





オレがいつも付けているピアス(これ)、実は貰い物だ。

かなり前だし、いつ貰ったのも、誰に貰ったのすらも…。

全然、ほとんど覚えてねーけど、なんとなくだけだけど……。




「__あの人の声は覚えてる」




覚えてる範囲の話なら出来るだろうか。









____
___
__



あれは確か五歳とかそんくらいだったか…。

その日もまた、兄ちゃんの後をこっそり着いて行っていたんだ。

そしたら変な感じがして、そっちに行っちまって、




「__な、なんだ……あれ!?」




真っ黒なもやが、一箇所に立ち込めていたんだ。

それで、好奇心で近づいちまって………その後は__




「__……はぁ。全く、人間の子はホントーにめんどくさいわねぇ」

「……?」




突然力が入らなくなった身体に戸惑いつつも、目の前の人……らしき者に目を奪わられる。

顔は見えなくて分からなかったけど、覚えてるのは左耳に付いた交通安全のピアスだった……。




「__ねぇキミ……」

「!……な、なんだ!」




突然話しかけてくるあの人は、どこか怒っているようで、身構えてしまう。

でもあの人の口から出た言葉は、想像出来なかった言葉だった。




「__…………危ないからここ来ちゃダメよ。あなた、祓い屋みたいだけど弱っちぃからね。すぐに殺されちゃうわ」




怒っているのか、いないのか、よく分からなかった。

てかなんで祓い屋だって知ってたんだろう……。オレ言ってねーよな…。

それは本当に今でも分からない。




「__これあげるね。わたしの御守り。……大切にしてよね」

「…たいせつなのになんで?」

「何でって……それは…」




何でかしらね…。と言った後、ふっと微笑んだように見えた。

それがあまりにもキレイで、あの時の、あの一瞬だけは忘れられなかった。



_
__
___




「大事そうなものだったからさっ」

「!」



花子が取ってくれなかったら、もしたしたらオレはこれを無くしていたかもしれない。

あの人が最後まで何だったのかなんて分からなかった。けど、あの人がくれた大切な物だから。

無くしたってなったらなんて言うだろう…。怒る?泣く?それとも…。

あれ、そもそもまた会えるなんて保証あるのか?

またあの時みたいに…。いや、それはやめておこう。だってそしたら怒るもんな。

また会えるまで祈っておこう。そしたらこの思いは少しでも届くはず__。





.

ちょっとピアスのオリジナル話をと。

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作者名:紅藍泉 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年5月11日 12時

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