壱｢煎餅屋の柚江と柚兎｣ ページ2
何十年も昔の事だ。
少女がまだ、
十つ上の兄がいた。
兄の名は｢柚兎｣。
柚江の親代わりとして、その日まで共に過ごしていた。
煎餅屋でやりくり出来るほど金には困らず。
いつも売り切れるほどの人気だった。
｢にぃちゃん!おせんべいうまくやけたよ!!｣
汗を少し出しながらも、全てを慎重に行った柚江の煎餅は焦げ目もあるがとても奇麗に焼けていた。
｢〜〜っ!!さっすが柚江だな!!兄ちゃんより上手いんじゃねェか!?｣
妹の出来っぷりに、思わず負けた気になるが、柚江はそう思ってなどいない。
｢にぃちゃんがつくるほうがおいしーよ!｣
まるで、天使の一言かのような言葉に、嬉しくなって盛大にニヤけた。
近くで見ていた通行人も、｢親バカ｣と言うほど。
そんな彼らに柚兎は言い返した。
｢ちがーーう!!おれは親じゃねェ!!兄だァ!!!｣
｢にぃちゃん、バカでいいの?｣
まるでコントを繰り広げているような二人に、通行人達は楽しそうに笑った。
｢柚江ちゃん、お煎餅何枚かおくれよ。｣
｢うんっ!おあじもいっぱいあるよー。｣
｢また増えたのかい?迷っちまうねぇ。｣
一月に一回は新作が出ていた。
あらゆる試行錯誤の中、様々な煎餅が出来上がるのだ。
｢じゃあ新作の中でおすすめのお煎餅ね。｣
悩んだ末、メニュー板に書いてあるものにした。
何が来るかは分からない。
｢あ、じゃあこっちもそれ頼むよ!｣
｢二人の作るお煎餅は何でも美味しいからなァ。｣
｢私にも一つ頂戴。｣
口々に求めてくるのは同じもの。
時々ハズレもあるが、美味しいのには変わりないのだ。
だから皆が求める。
｢じゃあこの人数だと煎餅が足りないんで、焼くところ見てってや。｣
柚江、頼むぞ。
｢はぁーい!!｣
柚江の焼き方はプロ並。
兄よりも。
｢やきかたをごらんあれっ!!｣
。
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紅藍泉。(プロフ) - ねこなべやみなべさん» うわあああありがとうございますう！？()えもうそんな事言われたら更新するしかないじゃないですかありがとうございます() (2021年5月9日 2時) (
レス) id: 72d8e8ff48 (このIDを非表示/違反報告)
ねこなべやみなべ - もう既に無理ゆえちゃんかわいい（（（ 開始2話でもう更に面白くなる予感しかしません！応援してます！！！ (2021年5月8日 17時) (レス) id: cfbde54238 (このIDを非表示/違反報告)
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