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影のように個室を出てきた姿にチラリと目をやった。
ゆっくりとカウンターまで来た大野さんは、
スツールにズルズルと乗り上げ、
手で顔を覆って深いため息をついた。
「…なんか、飲みます？」
一応そう声をかけてみる。
店に来た時は奥さんの美沙ちゃんの方が憔悴してる気がしてたけど、こうして見ると大野さんの状態も大して変わらない。
「…水、くれ」
くぐもった声がした。
「どうぞ」
グラスを席まで持っていくと、
大野さんはやっと顔をあげて情けなさそうに俺を見た。
「ごめんな、ホント今日…」
「心臓に悪すぎでしたよマジで。
開口一番『助けてくれ』って何なんすか」
「っふふ」
笑い事じゃないともうひと言付け足してやろうかと思ったが、
疲れた顔に浮かんだ笑みは心底辛そうでとっさに口をつぐんだ。
「…とりあえずまぁ、
Aがつかまってよかったっすよ」
「ん…来てくんなかったらマジどうしようかと思ったもん」
個室を肩越しにそっと振り返り、
大野さんは呟いた。
「今、なに話しとるんかなぁ…」
久々のオフだった俺のとこにいきなり連絡が来たのが今朝の話だ。
それでなくても大野さんは(言っちゃ悪いが)飛んだり抜けたりする話し方なのに、今日は珍しくテンパってたせいかそれに輪をかけた状態で、
「奥さん…だいぶ落ち着いたように見えたけど」
「ん…」
「…今朝はもっとひどかった？」
横顔にぐっと険しく影がさす。
なにも言わずとも、
その表情を見れば答えは明らかだった。
「ずっと変でここんとこ…」
ダルそうにまたカウンターに向き直ると、
大野さんはボソボソ続けた。
「あんま笑わんくなって、
ずっとなんか考え事してて」
「…」
「そんで、いっつも悲しそうで…」
俺がそうさせてんだろなきっと…
震える声でそう言うと、
大野さんはグッとグラスを握って俯いた。
「あんな顔…さすために、
一緒になったんじゃねぇのに…」
この人でもこんな顔すんだな、
なんて余計なことを一瞬思った。
いつもあまり変わらないテンションで、
静かな凪のイメージが強かったから。
「俺が守るって言ったのに…
…全然だ、こんなじゃ」
苦しそうにそう呟くと、
大野さんは唇を噛んで黙り込んだ。
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薫子(プロフ) - さやさん» ホント久々に宣言通り走り抜けました！３日の闇は全然残ってるんだけど、やけくそパワーで乗り切れたので結果オーライかな？最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました！！ (2019年1月5日 13時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 久しぶりの短距離走でしたね？お疲れ様でした！闇が、じゃなくって奥が！深い強いお話でした。3日の闇が残るかｺｯｿﾘ心配してましたが、流石プロだ♪ヽ(´▽｀)/完全内輪の内に入って読ませて頂きました！ありがとうございました！ (2019年1月5日 12時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» 明けましておめでとうございます♪今まで部分的にしか出してこなかった彼女たちの物語ということで、何とかカタチになってよかったです。新鮮に読んでいただけてたら嬉しいな♪二宮の和也氏には早く動くように伝えときますｗ 今年もどうぞよろしくお願いします！ (2019年1月2日 20時) (レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 久しぶりにまぁくんちの薫子さんに逢えて嬉しい短編！彼女たちの状況は分からない(←あたりまえ)のに、涙が溢れます！涙で明けた2019年！今年も薫子さんの相葉之雅紀氏に…違うや二宮之和也氏に会えることを楽しみにしています(^^) (2019年1月2日 8時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2018年12月27日 10時
