２２◆貴方の傍で ページ23
平謝りしていたまぁくんが、
あ、と言って急に止まった。
「そうだ、昨日リーダーがね」
「大野さん？」
「そう、なんか仕事中にいきなり連絡きて。
でもそれがさぁ、意味分かんないの全然」
「え？」
「今どこなのっつーから、
泊まりで地方だけど明日帰るよっつったの。
そしたら帰りAさんに絶対ケーキ買ってけって」
「ケーキ…」
「あっ別にそれは全然いいし、
まだ分かんだけどさぁ。続きがねぇ…」
ごそごそとスマホを取り出す彼の横で内心頷いた。
(なるほどね…)
ということはこのケーキは、
大野さんからのお礼の気持ちってことなんだろう。
かなり間接的にではあるけれど。
「あ、ほらこれ」
見てよ、とスマホが差し出される。
覗き込むとそこには、
【今度弟子入りさしてね】
と、まさかのシンプルさで用件だけが書かれていた。
(大野さんらしい…)
そう思って小さく笑った瞬間、
目頭が熱くなって視界がぼやけた。
「え、なにこれっつって。
怖くてまだ俺返事してないんだけど、」
スマホを見ながらそこまで言ったまぁくんが、
何気なく私に目をやってぎょっとする。
「え？！ちょっなに、どうしたの？！」
「ううん、何でもないの」
涙をふいて笑いながら、
幸せだと強く感じた。
自分は今、本当に幸せなのだと。
「何でもなくないよ。
なにホント、どしたの？」
困った声で私を覗き込む。
その首にぎゅっと抱きついた。
「ちょっ…」
慌てながらもしっかり受け止めてくれる腕は、
あの日と何も変わらず力強い。
「…まぁくん」
「ん？ なに？」
誰かに嫉妬し、自信がなくなる日もある。
寂しさに心が揺れ、
不安に押しつぶされそうになる日も。
それはきっとこれからも変わらない。
でも―――
「ずっとそばにいてね」
「へっ？」
何度巡り合っても、
きっとあなたに惹かれた。
どんなに険しい道だとしても、
あなたと歩きたいと思った。
ただあなたの隣にいたいと願った。
あなたじゃなければだめだった。
「これからもずっと…よろしくね」
好きだから苦しい。
苦しいけれど、それならその度に確認すればいい。
隣にこの人がいれば幸せなのだと、
その幸せだけを感じていればいいのだと。
「…うん。こちらこそ」
ぐっと力がこもった腕と、
すぐ耳元で聞こえた穏やかな温もりに、
ありがとう、と小さく呟いた。
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薫子(プロフ) - さやさん» ホント久々に宣言通り走り抜けました！３日の闇は全然残ってるんだけど、やけくそパワーで乗り切れたので結果オーライかな？最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました！！ (2019年1月5日 13時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 久しぶりの短距離走でしたね？お疲れ様でした！闇が、じゃなくって奥が！深い強いお話でした。3日の闇が残るかｺｯｿﾘ心配してましたが、流石プロだ♪ヽ(´▽｀)/完全内輪の内に入って読ませて頂きました！ありがとうございました！ (2019年1月5日 12時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» 明けましておめでとうございます♪今まで部分的にしか出してこなかった彼女たちの物語ということで、何とかカタチになってよかったです。新鮮に読んでいただけてたら嬉しいな♪二宮の和也氏には早く動くように伝えときますｗ 今年もどうぞよろしくお願いします！ (2019年1月2日 20時) (レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 久しぶりにまぁくんちの薫子さんに逢えて嬉しい短編！彼女たちの状況は分からない(←あたりまえ)のに、涙が溢れます！涙で明けた2019年！今年も薫子さんの相葉之雅紀氏に…違うや二宮之和也氏に会えることを楽しみにしています(^^) (2019年1月2日 8時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2018年12月27日 10時
