５６★ありがとう ページ30
「何だか緊張しちゃいます」
玄関の鍵を開ける一瞬、
Aさんが俺を見上げて苦笑いした。
「だよねぇ、だっていつぶり？」
そう笑い返したけど、
倒れたAさんを抱えて家を飛び出したあの日のことは、
心配で死にそうだった気持ちごと今でも鮮明に覚えてる。
あれからなんて色々なことがあったんだろう。
「さ、おうちだよー」
腕の中にそう声をかけてドアを開ける。
家に入るとAさんが小さくため息をついた。
１年以上ずっとひとりで過ごしてきたこの家に、
「おかえり、Aさん」
こうしてやっと、
家族が揃った。
「…ただいま戻りました」
痛いほど懐かしい声に胸が熱くなる。
この声がもう聞けなくなっちゃうかもって、
怖くて不安で眠れない夜もあったな…
「ね、早く早く！」
お姉ちゃんの方を抱っこしたAさんを引っ張って、
子供部屋に案内した。
「…わぁ、すごい！」
部屋のドアを開けた瞬間、
Aさんが嬉しそうに息を飲んだ。
「…気に入った？」
「もちろん！ねぇ、すごいねぇパパ」
２人はキョロキョロ辺りを見回して、
じっと俺らを見上げてる。
「今日からパパもいるからね」
俺がそっと言ったら、
意味が分かったのかな？
２人がそっくり同じ顔でニッコリ笑った。
「みんな一緒だよ」
俺の１番は、この３人になった。
何があっても俺が守るからね。
「Aさん…」
抱っこした赤ちゃんごと、
Aさんを抱き寄せた。
「ありがとう」
新しいいのちを、
ありがとう。
「ありがとう…」
産まれてきてくれて、
ありがとう。
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薫子(プロフ) - さやさん» いつも愛のあるコメントありがとうございます(^^) 今回も無事完結できてホッ。気づけばこんなに長く続いてて私自身もびっくりだけど、これも読んで下さる方々のおかげ！これからもよろしくお願い致します(o^^o) (2017年12月29日 16時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様、お疲れ様でした！素敵なお話をいつもありがとうございます。色んな感情にさせて頂き沢山の種類の涙を流せました！涙活ﾊﾞﾝｻﾞｰｲ！長年に渡りの超大作本当にお疲れ様ですm(__)m (2017年12月29日 12時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2017年12月23日 10時
