４８★命のおもさ ページ20
「どうぞ、お父さん。
抱っこしてあげてください」
テキパキ動いてた看護師さんが、
いきなりそう言って俺を振り返った。
「ええっ！ いやちょっとあの、」
「弟クン、はーいパパですよー」
「いや壊しちゃいそうっつうか…わわっ！」
問答無用で小さな包みをニッコリ手渡された。
信じられないぐらい小さくて軽くて柔らかい。
まぶしそうにぎゅっと目が閉じられた顔を見たら、
(わー…マジ超小っちぇー…)
俺の弟んとこで抱っこさせてもらったことはある。
でもそれはずっと前だし、
もうちょい大きくなってからだったし。
だからこんなほやほやの状態は初体験。
なんとも言えない気持ちでただ小さな顔を眺めてたら、
突然パッと目が開いて、
Aさんそっくりの瞳に俺が映ってんのが見えた。
「え…」
まじまじ見られてることにびっくりしてたら、
その子はパチパチッとまばたきして、
――すごく照れくさそうに、小さく笑った。
笑ったのはほんの一瞬だったけど、
その笑顔を見た途端に分かった。
この子はきっと前の時、
空に帰っちゃった子なんだなって。
(…そっか)
きっと天国に忘れ物して、
だから神様に呼ばれて帰っちゃったんだよって、
あの時俺はAさんにそう言った。
その時のあの子が、
(そっか。もっかい来てくれたんだね…)
ありがとう。
パパもママも君のこと待ってたんだよ。
ずっとずっと、待ってたんだ。
(いやーそれにしてもさぁ…)
笑い出したくなるのをこらえて、
頬っぺたをコラって突っついてみたら、
「ふふ…」
眠ったままなのに眉毛の辺りがグッと寄って、
「やめろよ」って感じの顔になってる。
(まったくもう…)
いくら俺似でおっちょこちょいっつってもねぇ。
「お姉ちゃん」と一緒に来んの忘れちゃうって、
(…それはあんまりでしょ)
小さくて、でもしっかり重さがある。
なんだかまだ夢の中にいるような気分で、
俺は赤ちゃんの顔をただ見つめていた。
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薫子(プロフ) - さやさん» いつも愛のあるコメントありがとうございます(^^) 今回も無事完結できてホッ。気づけばこんなに長く続いてて私自身もびっくりだけど、これも読んで下さる方々のおかげ！これからもよろしくお願い致します(o^^o) (2017年12月29日 16時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様、お疲れ様でした！素敵なお話をいつもありがとうございます。色んな感情にさせて頂き沢山の種類の涙を流せました！涙活ﾊﾞﾝｻﾞｰｲ！長年に渡りの超大作本当にお疲れ様ですm(__)m (2017年12月29日 12時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2017年12月23日 10時
