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32話 ページ32

「Aちゃん一緒にお風呂入ろっか」


嫌だ



「あれ?どこ行くの?」


怖い



「Aちゃんなんで僕の言った事守れないの?」


分からない


「ロボロって人は本当にAちゃんの事愛してくれたの?」



沁みる






あの日から、いくつの月日が経ったのだろう。少し私が歩くだけでも目を離すことは無いし
お風呂だってトイレだってそう。最初の頃は脱出や助けを求める事だって何度だって試みたけれど
全て失敗に終わった。
ロボロだって最初の頃はいつかは助けに来てくれる。なんて思っていたけれど童話の王子様じゃ
あるまい、此処が何処かなんて私ですら未だに分かっていないんだから。


「.....?」

私がいつも通り部屋の隅っこで蹲って居ると、机の上でパパのスマホが振動している。
電話、か。誰だろ

「はい、はい.......分かりました...すぐ向かいます」


電話の感じからして、多分、仕事の電話。パパは仕事の電話が来ると電話中少し黙り込む
癖がある。だから多分そういう事


「ごめんねAちゃん.....僕ちょっと仕事入っちゃったからここに居てね...勿論此処から
出るなんて思わ...ないかぁ!!だってお人形さんは動けないもんね?」


そう言ってパパは軽く舌打ちをし機嫌が悪そうに家を出ていった。お人形さんは動けない...か。
私はパパの人形になったつもりなんて一切無いのに、馬鹿みたい。どれだけ自信があればそんな
事言えるんだろう?

私は独り薄暗い部屋で考えていた。もし、今ロボロと一緒に暮らしてたらこんな重くて甘ったるい
服は、着てなかったのかな?もしかしたら黒田さんとも仲直りしてたのかな?

ロボロは今、私以外の子供が居るのかな?幸せな家庭を築いたのかな?

私、忘れられちゃったのかな

何故か、ロボロが私以外の子供と笑顔で暮らしていると考えた途端胸が締め付けられる様に苦しく
なった。ロボロはお母さんの再婚相手で、ただその中で1番優しくしてくれた存在。それだけの筈
なのに、なんでだろう

「すみませーん!!」


私が目に薄く膜を張りながら考えていると、インターホンの音と同時に部屋の隅に居ても聞こえる
くらい大きい声が聞こえた。配達?
まぁ少しくらい外の空気位吸っても良いよね。あの日からずっと出てないし。

私はそう思い、ゆっくりと玄関へと進んだ。


「は...い、ありがとう...ござ.....ぇ?」


「すみません、こちらの家に大事なものを忘れてしまった様で」






「ロ.....ボロ...?」



.

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砂糖(プロフ) - ななさん» 素敵なコメントありがとうございます!!最近は投稿ができない日が続いているので頑張ります!! (1月18日 7時) (レス) id: c20e9d8b77 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 登場がカッコ良すぎる…好きすぎる…!!よろしければ続きが読みたいです!無理せず更新頑張ってください!! (1月17日 21時) (レス) @page32 id: a13aafb24f (このIDを非表示/違反報告)
砂糖(プロフ) - 明太子なげっとさん» コメントありがとうございます!!なるべく早く出せるように頑張ります…! (1月11日 22時) (レス) @page32 id: c20e9d8b77 (このIDを非表示/違反報告)
明太子なげっと - 「大事なものを忘れた」で来るの神すぎんだろ…。続き待ってます…!! (1月10日 7時) (レス) @page24 id: 9b9289fd09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂糖 | 作成日時:2023年9月18日 21時

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