31話 ページ31
｢叶人君、Aあげる。もう要らなーい」
｢ほ、ほんと!?これまで会えなかった分存分に可愛がってあげなきゃ…」
あげる？要らない？.......あぁ本当に棄てられるってこういう事なんだ。
2人の会話の内容を聞いて何となく理解した。お母さんは荷物をまとめ始めている。
パパは.....何が呟いているが何を言っているか理解できない。この状況で棄てられる事が
わかっていても私は何とも思わなかった。幼少期の私だったら、お母さんの事引き止めた
のかな。
｢あ、呂戊太さんから電話来たりしたら言ってね。じゃ、さよなら!」
不気味な程に清々しいお母さんはパパに紙切れを渡し後ろを振り返ることも無くどこかへ
と行ってしまった。その後ろ姿はまるで希望に満ちている子供のようで見ていて吐き気
がした。
「Aちゃん...?悲しくないの...?」
「悲しくない」
私がお母さんが出ていくのを見て泣きも騒ぎもしないのを見て予想外だったらしいパパは
そんな私を見つめて首を傾げている。確かに大半の子供は親に棄てられたら悲しみにくれる
だろう。でも、別に私はお母さんに悲しいなんて感情は芽生えない。
それにしても、パパは一体私を引き取った所でメリット等有るのだろうか。ただ荷物が増える
だけじゃん。
私を再婚の条件に丁度良かったから？自分の罪滅ぼしがしたいから？
「大丈夫.....大丈夫だよ...これからは僕が沢山愛してあげるから...ね？」
「!?.....離して.....」
急にそんな気色の悪い事を言い出したかと思いきや、まるで"逃がさない"とでも言うように
身体を引き付けられた。身体のラインに沿って撫でるその手は、今にでも吐きそうな程
気色悪い。耳元で囁かれる度に鳥肌が立つ。
ロボロがこうやって抱きしめて安心させてくれた時はとても暖かくて心の氷を溶かしてくれた
のになんで？なんでこんなにも身体が拒絶するの？なんで身体の震えは止まってくれないの？
分からない.....助けて...
「Aちゃんは本当に僕似の子だ...」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
「さ、僕がご飯作ってあげるね...」
結局、元の状態に戻っちゃったみたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 243人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
砂糖(プロフ) - ななさん» 素敵なコメントありがとうございます!!最近は投稿ができない日が続いているので頑張ります!! (1月18日 7時) (
レス) id: c20e9d8b77 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 登場がカッコ良すぎる…好きすぎる…！！よろしければ続きが読みたいです！無理せず更新頑張ってください！！ (1月17日 21時) (レス) @page32 id: a13aafb24f (このIDを非表示/違反報告)
砂糖(プロフ) - 明太子なげっとさん» コメントありがとうございます!!なるべく早く出せるように頑張ります…! (1月11日 22時) (レス) @page32 id: c20e9d8b77 (このIDを非表示/違反報告)
明太子なげっと - 「大事なものを忘れた」で来るの神すぎんだろ…。続き待ってます…！！ (1月10日 7時) (レス) @page24 id: 9b9289fd09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：砂糖 | 作成日時：2023年9月18日 21時
