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11月9日 金曜日
今日は体育をしている角名くんを見た。
今男子の方の種目はハードル走のようで、軽々とハードルをとびこえて走る角名くんは遠目でもかっこいいのが分かった。
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黒板の前で何故こうなったのかと言うほど脱線した話をしているのは、保健の先生だ。
うちの学校の体育は男女で分かれていて、今日は女子が保健、男子が体育だ。
ふと、なっちゃんの方を見ればバチッと目が合う。
“これ、なんの授業やったっけ？”
“多分保健体育だったハズ”
“絶対うそやん”
目で語るなっちゃんには同意しかない。
この迷走した話は、かれこれ10分のほど続いている。いつまで続くんだろう。
なっちゃんから先生に視線を戻すと、先生はミルクティとロイヤルミルクティの違いについて力説していた。待ってこれ、ほんとになんの時間だっけ？
まだまだ終わる気配のないミルクティ論に授業の再開はまだ先という事を察し、今度は窓の外に目を向ける。
男子の体育の種目はハードル走のようで、何人かの生徒が旗の上下に合わせ手走り出すのが見える。
見てたらなんか私も動きたくなってきた。
｢……あ｣
旗の上下に合わせて走り出す、角名くんが目に入る。
並ぶハードルを軽々ととびこえて、さっそうと走る。
ほんとにかっこいいなあ。
そのままぼうっと窓の外を見ていると、角名くんよりも早く走り終わっていたらしい宮くん(銀)が、こちらに手を振っている。
私？私になのか？
分からないからとりあえず、手を振り返しておく。宮くん、目いいな。
｢そんなに窓の方が気になるんか？A｣
｢え？｣
前を見るといつの間にやら、ミルクティ論を語り終えていたらしい先生が私を見ている。
うわっ、まじか……いつの間に。
｢なんかあったんか？｣
｢…空気が｣
｢空気なんか前向いてても見えるやろが。
しっかりせえよ、次期会長｣
｢ハイ……すみません｣
教室の中に笑いが生まれる。不覚だ……。
しばらくミルクティは見たくないかもしれない。
席替えまで残り 21日
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作者名：木瀬 | 作成日時：2020年6月27日 10時
