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11月30日 金曜日

今日は朝久々に角名くんに驚かされた。
くそう、油断してた。
最後の最後でしてやられた。
それから、この席になって改めて実感した。
やっぱり角名くんは、凄く優しい。
やっぱり私は、角名くんが好きだ。
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「おはよう、A」


「お、はよう。角名くん」


驚いて声が少しうわずる。

本に集中しすぎて声をかけられるまで、角名君が来たことに気が付かなかった。


「今日は何読んでるの?」


「サスペンス小説

今容疑者の供述に引っ掛かりがあってめっちゃ考えてたんだよ。」


「そうなんだ

最近全然びっくりしてくれないから、久々にビックリしてくれて面白かったよ」


「角名くん…やっぱりちょっといい性格してるよね」


したり顔をしている角名くんを恨めしく見る。

でも、こんな表情もカッコイイと思うのも事実だ。

大人っぽかったと思えば、ちょっと子供っぽかったり、

綺麗だと思えば、ちょっと可愛かったり、

思えばこの1ヶ月間で今まで知らなかった角名くんをみれたきがする。

そして、それを見る度にもっと角名くんのことを好きになった。

だからこそ、この席が今日で終わるのが


「寂しいな…」


「え?」


「えっ」


声に出ていたことに驚く


やばっ、完全に心の中だけで言ったつもりだったのに。


「俺も寂しいよ」


「え?」


「Aの隣の席が終わるのが寂しい」


「そ、れは……」


「はい席ついてや〜、朝のショート始めんで」


チャイムと同時に教室に入ってきた先生が声をかけ、ショートを始める。

分かってる。

昨日だって今日だって、角名くんは優しいからそう言ってくれる。

変な勘違いをしちゃいけないってちゃんと分かってる。

分かってるから、だからせめて

その言葉を嬉しいって思うことくらいは許して欲しい。


席替えまで残り 0日

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作者名:木瀬 | 作成日時:2020年6月27日 10時

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