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11月16日 金曜日
薄々感じとってはいたが、角名くんは負けず嫌いだと思う。
私も負けず嫌いだけど、角名くんには負ける。
負けず嫌いに負けるのもやっぱり悔しい。
やっぱり私の方が負けず嫌いかもしれない。でも…ダメだ。これは完全にデッドロック状態だ。
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今週は女子が体育で男子が保健だ。
体育を終え、更衣室で着替えをして教室の自席に戻ると角名くんがお疲れと声を掛けてくれる。
｢ありがと｣
｢暑そうだね｣
｢うん、暑い
11月なのにこんな汗かくとは思わなかった｣
手でパタパタと風を送る。
気休め程度の風しか来ないけど、ないよりは全然いい。
体育する前はあんなに寒かったのに…
｢A走るの早いよね｣
｢え゛｣
｢凄い声出てるよ｣
そうかもしれないけど、それどころじゃない。
A走るの早いよね？……え？
｢見てたの…？｣
｢うん｣
｢うそお……｣
衝撃だ。
思わず汗が止まるほどの衝撃だ。
｢Aも先週の体育の時見てたじゃん｣
｢それもご存知だったんですか｣
｢治がAが手振ってくれたって。
俺が見た時はもうA見てなかったけど｣
少しムッとしたように言う角名くんに、思わずごめん…？と言う。分からない、謎だ
｢Aが見てたなら俺も見るしかないよね｣
｢角名くんかなり負けず嫌いでしょ｣
｢さあ？｣
｢絶対そう｣
じゃなきゃ、見られてた。よし、自分も見返そうなんて発想に至るわけが無い。
｢まあそうだったとしても、それだけじゃないけどね｣
｢あー…保健よく話脱線するもんね｣
｢そう言う意味じゃねえ…｣
｢えっ、違う？｣
｢…なんかこれ、すげえデジャヴなんだけど｣
｢？？？｣
頭が？で埋め尽くされる。
デジャヴ？角名くんは予知夢でも見ていたのだろうか。
席替えまで残り 14日
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作者名：木瀬 | 作成日時：2020年6月27日 10時
