片想い日記、始めました。【角名倫太郎】 (ページ16)

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私がそう言うと、角名くんはオッホホと笑い出した。

角名くんってこんなふうに声に出して笑うんだ。

今までほとんど話したことなく、ただクールという印象を持っていたため少し意外だった。

角名くんはいわゆる美形ってやつで、かっこいい。
でも、こんなふうに笑ってるのはなんか

｢かわいい…｣

｢え？｣

｢あっ、いや、なんでもない｣

｢やっぱAさんって面白いね｣

｢お、面白い？｣

｢うん｣

角名くんの言葉の直後、4時のチャイムがなる。

やば、たしか角名くん昨日部活は4時からだって言ってたよね。

｢ごめん、昨日に引き続き今日もまた引き止めちゃって｣

｢気にしなくていいよ。俺も話したいことあったし
昨日も言おうとしたんだけど、Aさんは自分が思ってる以上に色んな人から信頼されてるよ。

俺もだし。だから、自信もって頑張って｣

｢…！｣

じゃあ、もうそろそろ行かないとまたドヤされるから行くよ。と言って背を向ける。

角名くんがもう行かなきゃ行けないのは分かってる。それでもどうしても今、これだけ言いたい。

票で見るのと、直接言葉で聞くのは全く違う。

今、1番私の背中を押す言葉を、今、1番嬉しい言葉を言ってくれたことに。

｢角名くん｣

呼べば、足を止めて振り向いてくれる。

廊下の窓から差し込む日差しが角名くんを照らす。

心臓が小さく、微かにトクリと音を立てたり

｢ありがとう！角名くんも、部活頑張って｣

｢こちらこそありがとう。また明日、A｣

そう言って今度はさっきと違う、静かで綺麗な微笑みを浮かべ、今度こそ背を向けて行った。

カッコイイ。

今度は小さくなんて可愛いもんじゃない。

心臓がドクドクと激しく波をうっているのがわかる。

書類を抱えている腕に力がこもる。顔だってあつい。

私はきっとこの瞬間に、角名くんを好きになった。