#2 姫と騎士 ページ3
理学部がよく使う学習棟に向かうまでの中庭に、耳に髪をかけて難しそうな本を読む女性がいた。
優雅に足を組み、イヤリングが穏やかな陽光を浴びている。容姿端麗を象って造られたんじゃないかと思う美貌と、モデルだって裸足で逃げ出すだろう美貌を持つ彼女は、男だけじゃなく女も二度見する。
A「志保ちゃん」
呼びかけると、志保ちゃんはこちらを見てフワリと笑う。
うん。間違いなくかわいい。
隣に座って彼女の見ていた本をのぞき込む。文系には分からない単語がびっしり並んでいる。
A「何これ?」
志保「図書室で見つけたの。古いレポートなんだけど、興味深くて」
A「ほ〜う」
志保「ふふっ。貴女には難しかったかしら」
意地悪な笑みに、彼女の素の片鱗が現れる。
こういう姿を多くの人が見れないのは、美しすぎる代償なんだろうか。まあ、安売りするよりはいいんだけど。
志保「さて、ショッピングよね」
A「うん!あ、この前見つけたカフェにも寄りたいんだけど…」
フッと陰った周囲に顔を上げると、見るからにチャラい男三人が目の前にいた。
「ねぇ宮野さん。これから遊びに行かない?」
「上手い酒の店知ってるんだよね」
志保「生憎、これから彼女とショッピングなの。あと、私はまだ未成年よ」
「堅いねぇ〜。バレないよそんなこと」
「じゃあそこの子と一緒でいいからさ」
「楽しませてあげるよ」
わかりやすくウザイナンパだ。
志保ちゃんはかわいいので、こういうことは多い。ナンパなどとは微塵も縁のない平凡な人生を生きてきたあたしとは大違いだ。
A「もうほっておいて行こ、志保ちゃん」
志保「そうね」
本をカバンに閉まった志保ちゃんと一緒に立ち上がる。そのまま突き切る予定だったけれど、鬱陶しい男達は諦めない。
志保ちゃんの手を引っ張って、進まないようにする。
「いいじゃん。行こうぜ」
もー!めんどくさい!!
A「あの!」
「おい。その手を離せ」
反論しようとしたその時、救いの手がやって来た。
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アイ - 更新楽しみにしてます!!頑張ってください!! (2019年8月16日 20時) (レス) id: 2d5f8eb3ac (このIDを非表示/違反報告)
闇桜(プロフ) - 私この作品好きです((唐突 更新は大変だと思いますか私は読んでいてとても楽しいです。これからも更新頑張ってくださいね (2019年6月25日 22時) (レス) id: 0f3a312144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮本 真由美 | 作成日時:2019年2月14日 13時