紅蓮の君とはじめの四歩

157話 幼い頃からの、大切な絆 ページ8

お化けとか嫌いだし恐いけど、でも、今の気まずいままの方が嫌だな。


棗「暖房もきれたみたいだな」


雪の冷たさが、壁からじわりと伝わる。

まるで、あたし達の空気まで凍らせるみたい。


流架「もうすぐ復旧するかな…」


2人とも、あまり目を合わせようとしない。

会話だって成立してるか怪しいくらいなのに。

いつもの2人らしくないな。もっと2人には、笑ってほしいのに…


きゅっ


ほぼ同時。右手と左手が繋がれる。

隣にいるのは、棗と流架。たった2人。

今の、狙ったのかな。

というか、手をつなぐってちょっと…はずかしい。


流架「…プ。くす…くすくすくす…」


え、何そのかわいい笑い方！

よく見れば、棗も笑ってる!?


流架「変なの。2人してA困らせて」

棗「フン」

流架「ばっかみたいだ俺ら。バカ棗」

棗「はあ」

流架「バーカ」


流架が棗にバカって言った!!すごい貴重だよ！カメラ！誰かカメラ持ってきて。


流架「むっつりスケベ」


え、そうなの？


棗「うっせ」


そうなの!?


流架「負けず嫌いの気遣い。いじっぱり。子ども」

棗「いいたい放題かよてめー」


確かにいいたい放題だ。でも、流架が笑っている。


流架「じゃあ棗も言い返せば？バーカ」


すると、つられて棗も言い返す。


棗「女の趣味悪すぎ」

流架「じゃあ棗もじゃん」

棗「一緒にすんな」


これが、幼馴染の力なのかな。

あたしと介して、2人で手をつないでるみたいだ。


A「棗のばーか」


ゴン！


A「なんであたしだと怒るの！」

棗「なんで怒らねーと思ったんだよ」


ノリでいけるかなって。


流架「ふふ」


やっぱりかわいい笑い方だなー。女の子でももっと豪快だよ。


流架「俺、負けないから」

棗「何だそら。勝つ気ねーっつーの」

流架「あまのじゃく」

棗「うっせ」


良かった。

いつもの2人だ。

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