紅蓮の君とはじめの一歩 (ページ35)

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34話拉致ページ35

潮のにおい

鉄の錆びたにおい

規則的な金属音

誰かの…吐息

重たいまぶたを開けると、鼻が触れるほど近い距離に、キレイな顔。

棗、くん。

棗君!?

バッと顔を離す。後ろには蜜柑ちゃんとパーマもいる。

手足の自由がない。縄で縛られている。

A「蜜柑ちゃん。パーマ」

小さな声を出すと、2人が目を開ける。

A「どうしてあなた達がここに」

蜜柑ちゃん「棗とAちゃんが連れてかれるのを見て、追いかけてきたん」

そっか。ありがとう。

「おい。ガキ目覚ましたか？」

やばっ。

急いで嘘寝をする。よかった、気づかれなかったみたい。

「ふねは？」

「今夜2時。それまで学園側にみつからないようここで待機との命令です」

あの声は聞いたことがある。でも、なんだか違和感があるな。

確か棗君の病室に居た赤髪。命令ってことは、上司がいる。組織的な何かかな。

「日向棗は組織送りとして、残りおまけ3人は売っぱらう前に何のアリスを持ってるか確かめる必要が」

おまけって。

そりゃ、棗君に比べたら役立たずのアリスだけどさ～。

赤髪は近づき、棗君を踏む。

赤髪「こいつがあの黒ネコねぇ…」

棗君を足蹴にした！もー黙ってられない。

起き上がろうとした、そのとき。

赤髪の部下「あの…何なんですか？その黒ネコって」

赤髪「黒ネコってのは、こいつの裏世界での通称。こいつはアリス学園の影の産物。闇工作員さ」

こいつらは、何を言ってるの。