……？ ページ8
「……友達？」
「そうと決まればテレビ消す！！」
「いやどー言うことやねん！！」
有言実行。
橋本さんは少し離れたリモコンに向けて手を伸ばし、電源ボタンを押した。
プチッ、とテレビの画面は黒くなり、部屋は一気に静まる。
「私思うんだけど、こうなったのは何かの縁だと思うんだよ」
「……は、はぁ」
「だから！ これを機に私達は友好関係を深めよう！ お友達お友達！ ほらケータイ出して！ 番号交換しよ！」
「いやちょ待ってそれは急すぎ！！！」
そう言って俺の服についてる両ポッケを探ろうとするもんだから、つい腕を掴んで「一旦落ち着こ？！」と慌てて言った。
まあ仲良くなるのは別にいいとして……ギャルゲーでもこんなやつあんまおらんぞ？
(この人なんかずれてるな)
そんは橋本さんはどうしても番号が知りたいらしく、「えー？」と文句垂れながらもその瞳は俺の携帯からじっと逸らさずにいた。
(精神年齢が低いというか……距離感がおかしいというか……)
「……まあ確かにラボロくんの言う通りだね。いきなりケー番はまずいか」
「せや」
「そっか…………！ じゃあ！」
左手で作った拳を左掌で軽く叩き、ハッとした顔で俺と目を合わせる。
「さっきの自己紹介の続きをしよう！」
「……なるほど」
「じゃあ私から言うね」
「あ、もう始まっとるんや」
「私の名前は……」とまた始めから言おうとする。ちゃんと聞いていたアピールも兼ねて、「橋本A、やろ？」と俺は口走らせた。
「……え、なんで知ってるの？」
「いやさっき言っとったやろ？！！」
「……まあいいや」
(いいんや……)
「趣味は……テレビ見ることかな。あとパソコン触るのも好き。仕事は事務職！ 最近の悩みは夜ねれないことでしょ？ あと好きな食べ物は……」
「え、そんな言わなあかん？」
「自己紹介だしね。好きな食べ物は……」
なんか小学校に戻った気分……
趣味と職業聞いて終わりだと思っていたのに、さらにどうでもいいことまでペラペラと話し始めるのは予想外だった。
(てか俺も言わなあかん流れじゃねこれ)
俺そんなコミュ力ないねんけどなぁ……
「はい次はラボロくんの番！」
「ロボロって言われてます職業は秘密ですこれから色々とよろしくお願いします」
「最初のと全然変わってなくない？？！」
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作者名：ロータス(旧レン) | 作成日時：2019年1月21日 19時
