逆に気を使う感じ ページ3
……困ったなぁ
差し出したお茶とお菓子を何となく口に運びながら、橋本さんがつけたテレビを何となく見つめていた。
明日のブロマガは俺担当やし、なんなら今日撮影の約束してたような気もする。
(なんでこんなことに……)
チラッと彼女を覗く。
見たことないテレビ番組に橋本さんはほくそ笑み、お菓子に手を伸ばしていた。
最初の方こそあんな警戒してたのに……なにこの状況。
よく考えたらこの人見ず知らずの人にカレー食わせて、ちゃっかり自己紹介までさせてきたよな？
(絶対只者ちゃうわ、鬼メンタルやん)
「どうしよ……」
「……ラボロくん悩んでるねぇ〜」
「橋本さんは偉い呑気やね」
「そりゃまあ……いくら謎現象が起こったっていっても、私のテリトリーはこうしてちゃんとあるし」
つまり実質の被害者は俺だけだから、とそう言うことらしい。
俺の知ってる心無い人みたいな発言を、こんなところで聞くことになるとは……世間は狭いのかもしれない。
ぽかんと浮かんだそいつのことをきっかけに、俺はとりあえずこの状況をあいつらに相談することに今決めた。
「橋本さん」
「はあい」
「……なんかできあがってへん？」
「え？ いやこれお茶だし」
「そう………………トイレってどこ？」
「この部屋出て左曲がったとこ」
テレビに集中したまま、橋本さんは左手で後ろのドアを指差す。
(トントンかエミさんあたりやな……)
教えてくれた橋本さんに軽くお礼を言って席を立ち、ドアの前まで歩いたところで、「ラボロくん！」と声をかけられた。
「ん？」
「…………綺麗にしてね」
「〜っ？！！！ なに言っとんの！？？？」
「やあ〜、一応……ね」
「言われんくても分かっとるわ！」と今日一声を張り上げ部屋を出た。
(もうやだおうちかえりたい)
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作者名：ロータス(旧レン) | 作成日時：2019年1月21日 19時
