神谷side ページ7
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菅原の家に迎えに行くと、やはりヤツは寝起きだった。
待たせる自信しかないとのことでヤツの家の中に入る。
出来れば自信を持たないで頂きたいところだけど。
それにしても意外と女子らしい部屋。
中に入った瞬間、柔らかくて優しい香りがした。
「神谷さん、この香りはあのリードディフューザーですよ〜」
まるでエスパーかのように俺の思っていた事をピシャリと当てる菅原。
こういう時本当に頭が切れるんだよな。
なんて考えていると、再び菅原が口を開いた。
「神谷さん見てたら分かりますよ、思ってることくらい」
誰を見てもわかる観察力があるのか。それとも俺だけなのか。
いや、そんなわけないよな。
菅原は俺の気持ちも考えずに、
呑気に「これいい匂いですよね〜」と言っている。
こいつの考えていることは本当によく分からない。
いつも寝坊して、仕事中に歌って、食べ物に目がなくて。
でもこんなポンコツも時には役に立つ。
この前なんか、
ストーカー被害にあっていた女子高生のために自らの身を削って男を撃退した。
その姿はまるで、本当は菅原がされたのではないかと思わせるくらいに犯人を睨んで激怒していた。
その事件でわかったのは、
菅原を怒らせるとかなり怖いということ。
同じ現場にいた他の刑事が犯人の狂気に満ちている目よりも、菅原の態度に震えていたのだから。
そんなことを考えているうちに菅原は準備が終わっていた。
その速さは尋常ではなく、改めてこいつは謎だと感じる。
署に着くなり、相変わらず水城さんはからかってくる。
全くどっちが先輩なんだか分からないよな。
いつも子供っぽい菅原が珍しい毒舌。
それに対してショックを受ける水城さんが可笑しくてつい笑ってしまった。
たまにはこんな生活も悪くない、なんて思ったり。
『え、神谷さんって笑うんですね』
水城「それ俺も思ったよ。神谷も人間だったんだな」
神谷「……」
前言撤回だよ。
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