水に咲く一輪の花となれ② (ページ1)

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過去の大まかな話ページ1

渚side

渚「っえ、Aちゃんが？」

怜「…はい」

渚「岩鳶小学校に…」

怜「っ渚くん。A先輩って、一体どんな人だったんですか？」

遙ちゃんと凛ちゃんがばったり合わないように、怜ちゃんに凛ちゃんの備考を頼んでて、岩鳶小学校で見失ったから僕一人で怜ちゃんを迎えに行った…っていう、その帰り道。

渚「どんな人だった…か」

お手洗いに行ったはずのAちゃんが、まさか岩鳶小学校にいたなんて、ちょっと裏切られた感じで胸の辺りがモヤモヤしたけど、怜ちゃんの質問に答えなきゃ。

渚「Aちゃん！今日も勝負しよーよ！」

『っお！いいよ！』

渚「やった！種目はブレだからね？」

『わかってるって！絶対負けないんだから！』笑

渚「…昔は本当によく笑う、普通の女の子だったんだよ。毎日のように勝負挑みあって、僕は一度も勝てなかったけど…それでも、Aちゃんと泳げるだけで僕は嬉しかったし楽しかった」

渚「Aちゃん！おはよ！」

『おー！渚おはよ！』笑

会えば必ず話しかけてたし、Aちゃんも僕のことを見つけては話しかけてくれてた。あの悲劇が起きたとしても…Aちゃんは笑ってた。多分、みんなに心配をかけないために…

怜「昔は…ですか…じゃあなんで今のようになってしまったんですか？渚くんの話からは、今のA先輩は想像できません」

渚「うん…そうだよね」

渚「Aちゃん！おはよ！」

『…』

渚「？Aちゃん？」

『っあ、ごめん渚…、おはよ！』笑

あの時の僕は何も分かってなくて、無神経に話しかけちゃった。でも、…でもね、Aちゃん。僕、ほんとうは気づいてたんだ。Aちゃんが無理してるってこと。

両親が居なくなっても、徐々に笑顔を取り戻していったAちゃんは、凄すぎて何も言えなかった。