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- K side
あの部屋から運び出したAの息は浅く、血も止まる気配がせず、このまま出血が続けば死ぬのを待つしかないほどに弱っていた。
「この子は生きて返さなきゃいけないって言ってたのにっ…
何考えてんの、ジョンヒョニヒョン…!」
必死にガーゼを当てて傷口を押さえるけれど、そのガーゼも最早意味を成さないほどに出血は酷かった。
このまま、死ぬのを待つのなんて許されることじゃない。
必死に頭を動かした。
使うことはないだろうけれど一応、学んだ人間治癒学。その知識を必死に引き出そうとするけれどなかなか思い出せない。
「あぁっ!もう……どうしたら……」
「キボマ!」
「ミノ!それにテミナも!」
ミノがテミナを抱えて来てくれた。
テミナもオニュヒョンの力を受けてしまったから今日はずっと眠ったままになるだろう。けれど命に別状はないからそっと眠らせることにした。
「キボマ…どうだ?何かあるか…?」
「それが…必死に思い出そうとはしてるんだけど…」
「そうだよなぁ…
人間治癒学なんて、勉強したの何十年も前だしな、
使わねぇし…。」
この子に血を与えなくてはならないのは確かなのだ。じゃないと多量出血のショックで人間は死んでしまうはず。
でも僕達の血を与えるわけにはいかない。
……高確率でこの子を同じ道を辿らせることになってしまう。
どうにかして血を分けてもらえないだろうか?
「……ミノ」
「ん?」
「ミノの部屋に人間界と通じる鏡…あったよね」
「あ、あぁ…チャンミニヒョンと会話する時、使うやつだろ?」
それを使えば…もしかしたら…。
「ミノ…それ、貸して」
「え、…いいけど、何するんだよ」
「この子の友達か…居るなら兄弟に…血を分けてもらおう」
「…まさか、キボマ…」
「仕方ないんだよ…!!
この子を死なせない為には同じ種族の血がいるんだもん!」
そう。Aの知り合いか家族に血を貰えたらそれで助かるんだ。
血を増やす術なんていくらでもある…でもその元がないと何も出来ない。
「僕が今から辿ってみる…、口止めはしっかり…しないとね?」
「キボマ……」
ミノの案内で急いで彼の部屋に向かえば、戸を開けたその先に壁に貼り付けられた巨大な鏡。
僕はそれに手を翳し、目を瞑った。
その先に誰かがいることを祈って…
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ゆい(プロフ) - めっちゃ先が気になります!更新頑張ってください!楽しみにしています! (2017年6月20日 7時) (レス) id: ff3075404a (このIDを非表示/違反報告)
ウユキー - 更新頑張って下さい!!! (2017年6月19日 14時) (レス) id: 803b93d845 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カリナ | 作成日時:2017年6月5日 16時