無音の歌 (ページ43)

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- you side

そして2ヶ月後、迎えた学祭当日。

あれからミノは一生懸命ボイストレーニングをしたおかげで声を出すことがスムーズにできるようになった。

トレーニングをしてくれたのはリーダーのキュヒョン君で感謝しないとね。

「ミノ」

『あ、A。調子はどう？』

「万全だよ。ミノこそどうなの？」

『俺も万全』

今回は僕とミノがボーカルをして、キュヒョン君とチャンミン君は演奏をしてくれるんだ。

二人がいるから心強くて安心して歌える。

『俺の声、おかしくないか？』

「全然大丈夫だよ。自信もっていこう？」

『…うん』

やっぱりどこか不安もあるのだろうし、それは仕方の無いことだけれど今のミノの声は本当に素敵だから。

「ミノ」

ミノを呼び、振り向いたその顔にキスをした。驚いていたようだけれど次第に押し返してくる唇。

暫くしていると無意識のうちにどうしても先を求めてしまう。僕はそれを自制し口を離して笑顔で見つめながら、

「ミノなら、大丈夫だよ」

『ありがと、A』

- Minho side

本当にずるいな、Aって。

キスしてる時にそんな顔すんなよ。

…いっつも我慢してるっていうのに。一応先輩だけどさ、付き合ってるんだからそんなの関係ないよな？

抱きしめたりキスしたりする時、俺の中の何かがぐるぐると渦巻く。

それに名前をつけるには無駄のような気がして。

それより、今は集中しなくちゃな。Aはもちろん、キュヒョニヒョンやチャンミニヒョンが特訓してくれたことを無駄にしちゃダメだ。

折角、綺麗な音の世界に生まれ変われたんだから。

今はもう、あの世界には戻りたくない。

もし…

もし、あちらの世界に戻されてしまいそうになった時には…

A。俺をこちらに繋ぎ止めて。

その声で俺を助けて。

それだけで俺は生きていられるから。

その言葉は口には出さないで、抱きしめているAの髪の毛に口付けた。