無音の歌 (ページ41)

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- you side

一体どれほどそうしていただろう？
どうしても離れるのが惜しくて離れられない。

「…ミノ、僕の名前、呼んで？」

『……A』

お願いすれば帰ってくる大好きな声。名前を呼ばれてこんなに幸せを感じたことが今までにあっただろうか？

『…Aも』

「え？」

『名前、呼ん…で』

「ミノ」

多くを語らずとも、この時僕達は名前を呼ばれることでお互いの存在を確認していた。それが安心だったのだ。

突如、ガラガラと開く扉。

そこにはチャンミン君とキュヒョン君が居て。

『…え、ミノ…？』

『目、覚めたんだな…！』

嬉しそうにミノの周りに寄ってくる２人。それにミノが笑顔で答える。

「はい、チャンミ、ニヒョン…キュ、ヒョニヒョン」

その言葉にふたりがぴたりと固まる。

そりゃびっくりするだろうな。耳が聞こえないはずのミノがきちんと受け答えするのだから。

『ミノ……耳が？』

「はい、…なん、とか」

『……ぅ』

チャンミン君が涙を零しながら蹲る。同じように目を潤ませながら彼の肩を抱くキュヒョン君。

『あー……なんて言ったらいいんだろ、

分からないけど…

…おかえり、ミノ』

キュヒョン君の目からも一筋涙がこぼれた。

ミノも、つられてか泣き出してしまった。僕はその震える背中をゆっくりと撫でた。

この3人にはこの6年間…僕の知りえない苦労や悲しみ、悔しさ…色々あったはずだ。

キュヒョン君も、僕が救いの手立てになることを悔しがっていた。それは、ずっとミノの事を思って過ごしてきたからこそなんだ、と。

もし、二人がいなかったらミノには支えがいなかったことになるのだろう。

2人が今まで守ってくれたことに感謝して。

これからは僕も一緒にいさせて欲しいと、心の中で願った。