無音の歌 (ページ40)

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- 続き

寝ていたはずのAが起き上がる。

『ミノ…？起きたの…？』

信じられないといったふうに僕を見つめるA。

ハッとしたと思えば、

【体は大丈夫？】

と手話で聞いてくる。

Aの方がたくさん、たくさん傷ついてるはずなのに僕の心配ばかり。

もっと自分の体も大切にしてよ。

「大……丈夫、元、気…だよ」

久しく自分の声を聞いた。やっぱりおかしくなってる。それは自分でも自覚できた。

５、６年のブランクは相当大きいものだった。

【よかった…、ミノが生きてて良かった】

手話でまた話し始めるから、その手を握って止めた。Aは驚いた顔をしてこちらを見つめてくる。

さっきの声は君なんでしょう？

聞かせてよ、Aの声。

「もう、…手話、いらない」

更に目を見開いてるA。そんなに目を開けちゃ零れちゃうよ。
勿体ない。

『ミノ……聞こえるの？

僕の声、聞こえてる？』

僕の顔をその細い手で包んでくるからその手に自分のを重ねて笑って見せた。

「き、こえる…よ、A」

その瞬間、Aは抱きついてきた。グス、と啜り泣く声が聞こえるから抱き締め返しては頭を撫でてやる。
僕の肩に乗る小さな頭に頬よせて。

「泣か、ないで…」

『っ、…無理だよ、馬鹿…』

やっぱり、さっきの声はAだったんだ。

言葉が少々汚いけど、あの声に間違いなかった。

「Aの、声……やっぱり、綺麗だね

思って、た通りだ」

僕達は時間が経つのも忘れてずっと抱き締め合っていた。

たった3日。

たかが3日でも離れていた隙間が勿体なくて。

僕達は離れられず。