無音の歌 (ページ21)

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- you side

この学校はビル構造みたいに縦に長く建てられてるものだから階段を上るのが一苦労だった。

…エレベーターは授業が終わって2時間後には同時に稼働を止めるし。

もし屋上に行ったとしたらミノの体力は底なしか。僕はもうこんなにもぜぇぜぇ吐息をきらしているというのに。

やっとの思いでついた屋上の戸を開けると目に飛び込んでくるのは夕日。

そういえばこの街のことよく知らないな…。ミノにでも教えてもらおうかな？

そう思いつつ周りを見渡すもののミノの姿は無い。ここまで来たのは無駄足だったのか。…いやいや友達探してるんだから無駄足ってことは無いよね。

……♪

ふと聞こえた小さな声。はっとして屋上の上にある小屋の裏を見てみれば座り込んではその壁にもたれかかって伏せているミノがいた。

さっき聞こえていた声はもう聞こえなくて。誰の声だったのか知りようはないけれど、それはさておきミノが見つかったのだ。

「ミノ、良かったここにいたんだね」

近寄るけれどあげられない顔。どうしたのかと覗き込めばすやすやと眠りについているミノ。

その顔はとても整っていて。綺麗な鼻筋だなぁとずっと見つめていた。睫毛も長く、閉じられた目を見てはいつもの大きな目を思い出す。

じー…と見つめ、ミノの頭を撫でていた。いつもは身長が高いのにこうしていると犬みたいに見えて、ふわふわの髪の毛が気持ちいい。

すると、

『…ん』

と顔をあげるミノ。

【起きたんだね、ミノ】

笑顔を浮かべながら手話でそう伝えた。するとミノはぼーっとしているのか僕のことを見つめて動かない。

【どうしたの？】

心配になってそう聞くも何も答えない。
再び頭を撫でようとしたら

その手首を掴まれた。

【ミノ？】

先程から何も答えないのに変わりはなく、ずっとこちらを見つめている。

本当に不安になってきて何も言えずにいると近づいてくるミノの顔。

えっ、と声が漏れた瞬間、唇に温かさを感じた。