存在証明 国見side. ページ20
渡さんがベンチに腕を強打。
少なくとも、この試合に出るのは無理だと
コーチが首を振る。
監督が結瀬を呼ぶ。
もうこのチームに、リベロは彼だけだ。
控えの結瀬は、顔を強ばらせる。
そうだ。
誰もこんなところで初の公式戦なんて
思わない。
しかも、相手が相手だ。
緊張や不安で仕方ないだろう。
すると矢巾さんが結瀬に近づく。
矢「結瀬。」
結「…はい。」
矢「だいじょーぶ。コートには6人いるんだから。」
そう笑って、結瀬の頭を優しく撫でる。
結瀬は、目に見えてホッとしていた。
矢「よっしゃ、このまま勝つぞ！」
「「おうっ！！」」
「おい、あの控えリベロ、1年だってよ。」
「マジかよ。確か、あのMBもWSも1年だろ？」
「人選ミスかー？(笑)しっかりしろよー！」
そんな声が聞こえた。
結瀬はそれに少し下を向くけれど、
今度は京谷さんに頭を叩かれる。
結「っ！？」
結瀬が自分の頭を押さえて、
びっくりしたように振り返る。
京「堂々としてろ。誰がなんと言おうが、お前は青城のリベロだ。」
ぶっきらぼうだけど、彼なりの、
精一杯の励ましだと分かった。
矢巾さんはそれを見て、嬉しそうに微笑んだ。
矢「“信じるよ、お前ら”。」
「“信じるよ、主将”。」
TO終了の笛が鳴る。
俺らは、負けない。
五色がサーブを打つため構える。
結瀬が構えて、叫ぶ。
結「サッコォーーーイ！！」
それは間違いなく、渡さんの後を継ぐ
1年の姿だった。
枯れた青葉だからなんだ。
1年だからなんだ。
今ここにいる証明を。
ダン！
綺麗に上がったサーブに、俺らを除いた
みんなが驚く。
国「ナイスレシーブ！」
矢「国見！」
安定した、矢巾さんのトスが上がる。
ボールを追って
ブロックと、レシーバーのちょうど真ん中。
打ち落とす。
ピッと笛が鳴って、審判が
俺らのコートへ手を出す。
結「っ、しゃあぁぁぁぁッ！！！」
結瀬が、雄叫びをあげた。
「「うぉあぁぁぁぁッ！」」
1年生の、比較的小さな背中の
その大きな叫びに会場が湧いた。
矢「よくやったお前ら！」
矢巾さんが嬉しそうに、
俺と結瀬をまとめて抱きしめる。
京谷さんも、ワシワシと頭を撫でてくれた。
俺は、結瀬の頭に手を置いて、
国「ナイスレシーブ。」
笑って、もう一度、彼を称賛した。
人選ミスじゃないんだ。
彼がずっと努力してきたことを、
俺たちは知っていた。
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ちょこみんと(プロフ) - 北狐さん» ありがとうございます！ (2021年1月11日 17時) (
レス) id: bf2a4d63a6 (このIDを非表示/違反報告)
北狐 - 凄く面白かったです！及川さん、、、良いですね！！今更ですがとっても面白い作品に出会えて良かったです。お疲れ様でした！ (2021年1月11日 16時) (レス) id: 5618ba980a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこみんと | 作成日時：2020年6月6日 7時
