僕らの進むみち 月島side. ページ17
烏「とにかく、今日は泊まってけって！」
坂ノ下商店の引き戸を開けると、
烏養さんの叫び声が聞こえた。
そこには、手首を烏養さんに掴まれたA。
なにこれどういう状況？？？
柄にもなく混乱してしまった。
すると彼女は、ぱっと顔を輝かせた。
『蛍！忠！』
山「ふぇっ！？」
隣で名前を呼ばれた山口が
真っ赤になって、変な声を出す。
烏養さんは青ざめて、Aの手首を離す。
『お、ラッキー！』
Aはそう言うと、僕らに駆け寄って、
烏養さんを振り向く。
『じゃーね、烏養くん！よろしく！』
烏「まだ決まってねぇから！」
Aが帰っていくのを見送って、
僕は烏養さんを見る。
多分、氷点下の目だったんじゃないかな。
月「なにしてたんですか。」
烏「別になんもしてねぇよ。」
山「なんかすみません…。あ、肉まん2つください。」
烏「とりあえず中に入れ。」
烏養さんは俺らを中に入れると、
すぐに店を閉めた。
なんなんだ。
山「びっくりしたー。あの人、急に名前で呼んで来るんだもんなぁ。」
月「烏野の1年であの人が名前で呼んでないの、山口だけだったもんね。Aって、ちょっと思いつきで行動することがあるから。」
山「そうだったっけ。なんか嬉しいね。」
月「……まぁね。」
『まだ決まってない』って、なんのことだろう。
少し気になったけど、聞くのはやめた。
烏「もうすぐ予選だな。」
烏養さんが呟く。
山「そういえば、日向が烏養さんと話してたの、なんだったんですか？」
烏「あ？あー、進路のことだよ。アイツ、高校卒業したらビーチやりたいんだと。」
月・山「ビーチ！？」
なにあのおチビ、そんなこと考えてたの！？
てかなんでビーチ！？
山「なんで！？」
烏「1年の時の強化合宿で、自分ができることを増やしたいと思ったらしい。ビーチは、広いコートをたった2人で守るからな。レシーブもサーブもトスもスパイクも、全部出来なきゃ戦えない。」
月「……なるほどね。」
烏「お前らもちゃんと決めとけよ。どうせギリギリまでバレーして過ごすんだろ。」
月・山「はーい。」
Aは、進路どうするんだろう。
僕らは肉まんを各自片手に持って、
店を出る。
山「ふふっ。」
月「なに、山口。」
山「だってさ、烏養さんの『どうせギリギリまでバレーする』っての、否定しなかったから嬉しくて。」
月「………うるさい山口。」
無意識だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこみんと(プロフ) - 北狐さん» ありがとうございます！ (2021年1月11日 17時) (
レス) id: bf2a4d63a6 (このIDを非表示/違反報告)
北狐 - 凄く面白かったです！及川さん、、、良いですね！！今更ですがとっても面白い作品に出会えて良かったです。お疲れ様でした！ (2021年1月11日 16時) (レス) id: 5618ba980a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちょこみんと | 作成日時：2020年6月6日 7時
