お願い 烏養side. ページ16
久々に店に顔を出すA。
コイツは、コイツ自身が中学の頃からの常連だ。
だからか、コイツは俺を「烏養くん」と呼ぶし、
俺もコイツを「A」と呼ぶ。
初めて見た日は肉まんだけ買って、椅子の上で
三角座りなんてするもんだから、驚いた。
それもだんだん慣れてきて、
少しずつ、近所の人みたく話すようになった。
『お願いがあるんだ。』
そう笑うAは、なにか
大事なことを心に決めた顔をしていた。
今までは、心底疲れている顔か、
馬鹿言って笑う顔だけで、
こんな顔は初めて見たものだった。
思わず、Aをじっと見つめる。
烏「…なんだよ。」
『家の売却の保証人になってくんない？』
Aは、俺に一枚の紙を見せた。
煙草が口からこぼれた。
コイツは今、なんて言った？
家？売却？？？
烏「はあ！？」
『タバコ落ちたよ。』
烏「家を売る！？お前どうした急に！！！」
『だってあんな広い一軒家、いらないよ。固定資産税かかるし。マンション借りた方がずっと安いもん。』
けろっとした顔でそう言うAに、
俺は溜息をつく。
烏「……母親は？」
『去年の今頃に出て行って、もう帰ってこないと思う。』
Aが母親と上手くいってないことも、
小さい頃、父親が弟を連れて出て行ったことも、
Aからは聞いていた。
とうとう育児放棄したか母親。
……ん？
烏「……じゃあお前今、実質一人暮らしか？」
『そうなるね。言ってなかったっけ？今は、たまに勇太郎や英んちで泊まってるけど。』
いや、やばいだろ。
高校2年の女が一人暮らし？
聞いてねぇし。
どこのラブコメだよ。←
烏「……お前、今日誰かんちで泊まる予定あるか？」
『？ 今日はないよ？予定あるって言っておいたもん。』
烏「考えるから、時間くれ。あと、今日は泊まってけ。」
『ええ！やだよ！！ここにいたら烏野に引き込まれかねないじゃんか！！！』
烏「お前は俺をなんだと思ってんだよ！！！」
『烏野の親バカ外部コーチですけど！？』
烏「誰が親バカだ！！」
とにかく、今日は泊まってけって！
そう、俺がAの手首を掴んだ瞬間。
店の引き戸が開いた。
誰だよ！
くそバッドタイミングだこの野郎！
「……何してるんですか。」
「えっと…もしかして、お邪魔でした……？」
ひゅっと喉が鳴った気がした。
そこには、
月島と山口が立っていた。
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ちょこみんと(プロフ) - 北狐さん» ありがとうございます！ (2021年1月11日 17時) (
レス) id: bf2a4d63a6 (このIDを非表示/違反報告)
北狐 - 凄く面白かったです！及川さん、、、良いですね！！今更ですがとっても面白い作品に出会えて良かったです。お疲れ様でした！ (2021年1月11日 16時) (レス) id: 5618ba980a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこみんと | 作成日時：2020年6月6日 7時
