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櫻井「降りてからもうちょっとだけ歩くけど大丈夫？」
「うん、大丈夫だよ」
櫻井「よし、行こっか」
「うん」
繋がれた手はもう不自然に感じなくなっていた。
目的地は、山の上にあった。
「こんな所、始めてきたよ」
そこは都会の明かりを全て見渡せる展望台だった。
「綺麗…」
櫻井「だろ？」
「でも、なんでここに？」
櫻井「ここね、俺の大切な人を連れてくるんだ」
また胸の奥がズキっとした。
私たちは、近くにあったベンチに腰を下ろした。
展望台はライトが少なく、翔くんの顔がはっきり見えない。
櫻井「モモ…」
「翔くん…」
次に目が合った時には、触れるほどの距離に彼の顔があった。
優しい優しいキスをした。
何度か重なる唇に私の心は比例して、
重ねる度に苦しくなった。
2人で再び、夜景に目を向けた時、私は1粒涙を落とした。
櫻井「…帰ろっか」
「うん」
慌てて涙を拭ってそう答えた。
また翔くんの手にひかれて、ほとんど人のいない最終電車に乗り込んだ。
アナウンス「ドアが閉まります。ご注意ください」
櫻井「えい！」
ｼｭｰｰｰｰｯ
「え？」
目の前にあった最後の電車は暗闇に消えていった。
櫻井「今日は二人きりでいたい」
「そのへん探したら、ホテルあるはずだから」
「ちょっとまってて」ってホテルを探しだしたけど、私はまだよくこの状況を把握出来てない。
櫻井「あった」
櫻井「すぐそこに泊まれそうなとこあったから行こっか」
普通に言ってるけど、今日は二人きりでいたいって一晩二人きりで過ごすってことだよね
今まで普通に繋げてた手が、ぎこちなくなってる。
街の静かさとか正反対で、私の心はうるさかった。
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作者名：YAGI | 作成日時：2018年4月28日 23時
