白布くんのスマイルは高い【白布 賢二郎】

よっつ ページ4

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あ、笑った。





練習はいつの間にか試合形式になったらしくいくつかのチームに分かれ、軽い試合をしている。

白布くんは川西くんやウシジマさんと同じチームらしく、そのチームが決まった時から彼は少しうきうきと楽しそうにしていた。川西くんになんかからかわれていたみたいだけど。


白布くんのその細い腕はボールに向かって真っ直ぐに伸び、白布くんの手から上げられたボールはウシジマさんの手に。次の瞬間、そのボールは相手コートの床に叩きつけられた。
相手コートにいる瀬見さんが悔しそうな顔でウシジマさんを見る。それまで瀬見さんを見ていた視線を少しずらせば、笑顔の白布くんが視界に映る。



その瞬間、今までに感じたことのないほどの熱が胸の奥に集まる。
その胸の熱さに思わず胸元の服をぎゅっと握りしめる。
うそ、なにこれ。やだ。私これ知らない。こんなの、知らない。


知らない感情がなんだか怖くて、思わず下を向いていた顔をあげる。自分でもよくわからないけど、少しドキドキしながら白布くんを見ると向こうもちょうどこちらを見ていたようで、目が合う。

目が会った瞬間、右手を握りガッツポーズを作り、してやったりと言わんばかりの笑顔を作り私を見る白布くん。



あぁ、こんなの、ずるいよ。

自分の荷物を纏め下に降り、見学の許可を出してくれた鷲匠先生にお礼を言って直ぐに体育館をあとにする。


むり、むりむりむり。あれ以上あそこにいたら確実に気づいてしまう。まだ。まだ気付かなくていい。この気持ちにはそっとフタをしておこう。

ああそうだ。明日、瀬見さんにお礼言わなくちゃ。

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