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第2話 『ドキドキ』 ページ3

その日の放課後、私は華と一緒にテニスコートへと行った。私達は硬式テニス部だから。
「あ…」
(そういえば、杉田くんもテニス部なんだっけか…やっぱりクールっていうか、ちょっと近寄りがたいな)
何となく、私は杉田くんを見つけると目が離せなくなる。ただ単純に杉田くんがイケメンだから、ってわけじゃない気もするんだけど…。
「沙織。明日の近郊大会行く?」
「うん、行こうかな。試合出られそうだし。」
それに、私達はまだ2年生だからそこまでじゃないけど、そろそろ総体もある。3年生にとってはこれが引退試合になるかもしれない。
「横澤、新垣。」
低い、少し不機嫌そうなクールな声が後ろから聞こえ、私達が振り向くと、そこには冷静な表情の杉田くんが立っていた。
「どうしたの?杉田くん。」
「…部室の鍵、間違えてるだろ。俺達が女子の方の鍵、間違えて持ってるみたいだから。そっち、男子の方の鍵持ってねぇ?」
鍵かあ…でも、たしか、部室の鍵って1年生が持ってくるんだよな。
「多分、それは1年生に言った方が良いと思う。2年生と3年生はコートでボール数えたりしてるから。」
そう言うと、杉田くんは困ったように眉をひそめる。
「…えー。俺、1年生知らない…。」
「じゃあ、あとでそっちの部室の鍵、届けに行くから。それ、貸して。1年生に伝えてくる。」
華がそう言うと、よっぽど助かったと安堵してるのか、杉田くんは小さく笑みをこぼした。
「っ…」
杉田くんの笑みを見て、私の胸はドキドキと高鳴る。杉田くんって、こんな優しい笑みを浮かべるんだ。
「…何?」
私が見つめすぎてたのか、その視線に気づいた杉田くんがまたいつものクールな表情で私を怪訝そうに見る。
「えっ、あっ、いや…なんでもないよ。」
なんだろ、すごく顔が熱い…熱なんかないし全然元気なのに。
「…熱でもあんの?顔赤くね。」
「…本当だー、沙織、顔赤いじゃん。あっ、そうだ。ねー、杉田、沙織のこと保健室までつれてってあげてよ。鍵は他の人に渡しておくからさ。」
華ー!?何言ってんのっ!?保健室になんて行く必要ないのに。
てか、杉田くんにつれてってもらったら、別の意味で私は大丈夫じゃなくなる!
「…分かった。横澤、さすがに歩けるだろ。行くぞ。」
あーあ…どうするの、これ。華のせいだからね、杉田くんと険悪になったら!
私はそんなことを思いながら杉田くんの後ろにくっついていった。

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設定タグ:クール , 学園 , 一途   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:アヤ | 作成日時:2018年9月7日 21時

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