ガーネット �� ページ8
千空 side
タングステンを探しにスカルン鉱床へ行ったときガーネットも見つけて、俺の誕生石だなぁとか思いながらカセキに頼んでネックレスにしてもらった。
頼んだものが終わったとカセキに言われ、まぁそりゃもちろん凄腕職人のカセキだからそりゃあすげぇもんができあがってるんだが。
自分でも自分の行動の意味が分かんなかったが、なくさねぇように巾着袋に入れて、驚くべきことにあの決戦の日も俺はそれをご丁寧に持ち歩いていた。
洞窟の中にいたしばらく会ってなかったボロボロのこいつを改めて見て、自覚がなかっただけでこいつにあげようとしていたことにようやく気がついた。
理由はよく分からねぇが、ともかくAに渡した。俺がこいつにこれを渡したがってたから。
「……私にこれを？」
ようやく口を開いたら出てきたのはそんな言葉。今俺とテメーの他に誰がいるってんだ。幽霊になんざこんなネックレス渡さねぇよ。
「テメーが、それ付けてる限りは科学者として傍にいろ。旧世界の櫻葉家の事情とか、俺は分からねぇけど、これから先、文明が復興したとしてもテメーは科学者してろ」
きっと、俺は不安なんだろう。旧世界では良いとこのお嬢様だったこいつが、文明が復興していくにつれて科学者として動くのではなく、櫻葉家を復活させて俺との関係が希薄になっていくのが。
なにか少しでもこいつを縛っておかないと、逃げられたときに本当に探せない気がしてならない。だからきっと俺の隣に留めておくためのネックレスなんだろうな、と考えたわけだ、自分で渡しているわけだが。
「察するに君は、」
唐突にAが切り出した。俺がムード皆無で渡したネックレスを受け取り、細い首にそれを付ける。
「他の人間に私が靡かず、復興後も傍に居ろ、と言いたいんだな？」
図星を突かれ、俺は押し黙る。それを見てAは心底愉しげに笑った。
「いいよ」
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作者名：Saki | 作成日時：2022年12月15日 13時
