Dr.STONE３ ページ6
コールドスリープ
冷凍保存されている死体はあれど、こんなことは夢のまた夢。3700年前ですら事例がないのだから、成功確率なんて計算したくもない。
滝を水車として利用した冷凍庫だ。流れ落ちる水がカーテンになるように空いた横穴に作ってある。
ここなら見つかりにくいし、年間を通して気温が低く保たれる。コールドスリープには打って付けだ。
司「コールドスリープか…SFの宇宙船でしか聞いたことがないな」
記憶の中のどんな彼とも一致しない弱々しい声。そんな司の声を聞いてか、千空は明るく話しかけた。
千空「宇宙船…ソユーズなら三人乗りだがな。今いる連中から選べんなら、宇宙旅行に誰連れてくよ？」
司「…そうだな…」
考え込む司、ふと千空を見上げ、不思議そうな顔をする。
司「最期に…有能な人材のリストアップをしておいて欲しいってことかい？」
千空「あ？何言ってやがる、ただ聞いただけだ」
司「？…なぜそんな、最期に無意味な話を…」
冷凍庫に手をかけて、俯いた千空。
千空「無意味な話は、ダメなのか」
酷く辛そうな表情で、千空が言う。
司「…うん、大樹と…千空、君だと惑星探査には体力が心許ないね…乗せるならクロムかな」
千空「あー、俺もそこに俺はいらねえなあ〜」
千空は司を振り返ることなく、メンテナンスの確認を進める。彼にしては作業効率が驚くほど悪い。
千空「頭に貝の女いんじゃねえか。あれは＿＿」
司「彼女は記者だよ。復活者選定の貴重な情報源だ」
千空「ｸｸｸ、テメーの趣味かと思ったわ。霊長類最強はマリリン・モンローみてぇなのがご贔屓かとよ」
司「復活者の選定に、見た目は考慮してないよ」
千空「真面目か。……そもそも司、テメーの霊長類最強って肩書きな、まさか自分でお名乗り始めたんじゃねぇだろうな？」
司「俺は、自分のことをそんなふうに思ってないよ」
千空「マジの霊長類最強ならアレだな、超絶マッスルのマウンテンゴリラ先生だ」
司「うん、確かに強敵だったよ。一度だけ戦ったんだ、テレビの企画でね」
千空「前に、ライオンとも戦ったろ？ありゃ焼いても煮てもさすがに不味すぎたな」
司「あぁ」
千空「俺もテメーも大樹も全員、罰ゲームかよ、って変顔祭りだ。Aはポーカーフェイス保ちまくってたがな。大樹のキノコ一緒に食いまくって流し込む案で救われたわ」
司「懐かしいな。君たちとのあの数日、本当に、楽しかったよ、A、千、くぅ……」
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作者名：Saki | 作成日時：2022年12月15日 13時
