黒い宝石の香り３ ページ50
勢いで飛び出したのはいいものの、ボヤけた写真から見つけた黒い水たまり。その小さな水たまりを探すにはあまりにも森が広すぎた。
クロム「雪が降れば水たまりなど跡形もなく消える。それまでに見つけねば、ここまで苦労して見つけた全てが水泡に帰すぞ……！」
分かってる。雪が降る前に見つけなければ、今までの航空写真、気球と地上からの探索、それら全てに意味がなくなる。
きっと、私は何かを見逃している。あの時だってそうだった。重大なヒントを見逃してるはずなんだ。
ガーネットと目が合う。
ビビっと電流が走ったような感覚。
千空/A「イノシシだ！！」
彼は拳を握り、私はフィンガースナップを鳴らす。
A「1872年、相良油田発見の経緯だよ」
ゲン「いや誰一人知らないと思うけど…」
龍水か羽京なら知っているかもしれないじゃないか。
千空「野生のイノシシっつうのは泥浴びすんだ。ところがなぜかクッソ油臭ぇイノシシが見つかってな。なんだコイツってんで放って尾けてみたら＿＿＿」
コハク「で、そのイノシシは今どこに？」
A「フランソワ、リエットを作ると言ってスイカとトリュフ探しに出かけたよな、確か」
青い顔をしたガーネットと再び目が合う。急ぐぞ、という小さな声とともに走り出した。
＿＿危機一髪、イノシシはまだ煮込まれていなかった。
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小ネタ
ゲン「Aちゃん、今日も髪の毛オシャレね〜。編み込みしてポニーテールに赤いリボン付けちゃうなんて、どしたの？最近」
A「龍水が結んでる」
ゲン「ジーマーで！？」
いつも豪快な龍水からはそのような可愛らしい結び方をするイメージがあまり湧かなかったゲン。
しかし翌朝、オシャレな洋楽を口ずさみながらAの髪を愛おしそうに結ぶ龍水を目撃した。
後に彼はこう語った。
「あれは間違いなく王子様だった」
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作者名：Saki | 作成日時：2022年12月15日 13時
