石の世界でアテナは生きるⅦ【Dr.STONE】 (ページ40)

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欲しい＝正義２ページ40

羽京「フランソワってことは……フランス人？日本語は通じるの？」

A「日本語は通じる、フランス語も話せたけど」

龍水「ﾌｩﾝ、気にしたこともないな、日本人かもしれん。フランソワだかフランソワーズだか。本名も忘れたし性別も知らん」

コハク「性別も！？」

クロム「適当すぎんだろ……」

龍水のあまりの適当さに周囲は驚く。私からして見てもあの人の腕は良くて、素晴らしく主人のことを第一に思っていて、そのことなら莫大な権力を持っていた他所の家のお嬢様にすら怒れる人。

龍水「俺の知る事実はただ一つ。奴が世界一欲しい執事だということだ！ウデの前には人種も性別もどうでもいいことだ。違うか？」

フランソワ「失礼、龍水様、皆様。まずはパンの完成品を拝見いたしm＿＿A様！？」

目敏く、この人は私を見つけた。ブルースピネルは驚いた表情のままにしばし固まっていた。

後ろからヨロヨロと力なく追いかけてくるゲン。クロムはシレッと来ていたフランソワに驚いている。コハクは状況説明がないことを不思議がっていた。

龍水「これが俺たちの、小麦から焼いたパンだ！！」

黒焦げのボロボロ。よくこんなこの世のものとは思えないパンが焼けたな、と自分で焼いたものだというのに感心してしまう。

あまりの出来に、フランソワの顔が凍った。

ﾌﾗﾝｿﾜ「最悪の事態を想定するのも仕事ですのでお聞きしますが、まさかこの産業廃棄物をゲストに出されたのですか？」

何処からか取り出したハンカチで口元を覆い、ボロボロのパンから目を逸らす。自信満々にそうだと答える龍水に千空の方が冷や汗をかいていた。

ﾌﾗﾝｿﾜ「今回のメニューの目的＿＿、ゲストの要望をお教え下さい」

気を取り直し、フランソワは手に持っていたエプロンを付けながら聞いた。それに千空はいつも通り答える。

千空「長期航海の保存食だからな。超絶長もちで腹もちもいい、食えるレベルのパンが欲しい」

ﾌﾗﾝｿﾜ「いえ、リミットは何ヶ月か。できる限り正確な数字が欲しいのです」

千空にとって想定外の受け答え。有能な執事、龍水がそう言ったのは身内贔屓からなどではなかったことに、そしてここまでの道中でここまでの状況把握をしたフランソワに千空は賞賛の笑みを浮かべる。