石の世界でアテナは生きるⅦ【Dr.STONE】 (ページ29)

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ヒトの翼３ページ29

その日の夜＿＿＿

鹿の内臓に水素を入れた案内用風船(パイロットバルーン)を飛ばす。

龍水「上昇スピードは？」

千空/A「あのサイズなら分速70m」

ゲン「なんかわかるの、それで？」

龍水/A「上空の風が全部見える」

ゲン「……Aちゃん、ゴイスーすぎない？？」

龍水「翔(と)べるぜ、この風なら！絶好の出発日和だ…！」

ある程度の荷物を詰め込み、バスケット、つまり乗る場所の中央部にあるバーナーを炊く。するとバスケットがｸﾙﾘと回り＿＿＿

「濡れた机の味噌汁みたくなってるぞ……！」

千空「浮力と釣り合って地面の摩擦が消えたからな」

ﾌｯ…と浮かぶ。

クロム「う、浮かんだぁあああ！！ヤベェエエ！！」

マグマ「マジで空、飛びやがった……！！」

千空たちは上手く気球で飛んでいくことができ、

スイカ「もう、あんなにちっちゃくなっちゃったんだよ……」

カセキ「すごいの〜〜、人って欲張りで。翼が無いなら諦めないんだもの、作っちゃうんだもの。科学で、何百万年もかかって」

そのとき、ｷﾗﾘと気球が光る。

A「時間的に考えて、千空ちは現在上空1200m」

光ったお陰で正確な場所がハッキリ分かった気球を見上げながら私は呟く。

A「あの三人は今、地上(ここ)より七分未来の日の出を生きてる。……地球が丸いって証拠だよ」

ゲン「もしかしてAちゃんって、気球の仕組みが分かっちゃったりする感じ〜〜？？」

なぜか少し困ったようにゲンが聞いてきた。まぁ普通にそうだろ、千空、カセキと搭乗部の設計をしていたからな。

「なんでー？？」と好奇心旺盛なスイカを筆頭に私を囲うように質問攻めに来た。特に石神村の住民にとって人間が飛ぶという現象が気になって気になって仕方ないらしい。

A「気球にもいくつか種類があるんだ。千空たちが乗っていったのは『熱気球』と呼ばれるもので、風船の中の空気を暖めることで空に浮かべる。

空気より軽いヘリウムガスなどを風船に注入することで浮かす『ガス気球』くらいは覚えておいてもいいかもな。熱気球よりも長時間の飛行が可能だ」

とりあえず、気球の種類について説明したが。みんなの顔を見る限りはもっと知りたいという人ばかりらしい。科学に関心のある人が多くて嬉しい限りだ。