デパート千空１ ページ22
「空を、翔ぶ……？？人が……！？！？」
飛行機を知っている旧現代人は触れなかったが、車の移動手段もなかった石神村の人たちは飛び上がらんとばかりに驚いた。
マグマ「ムハハハハ！笑わせるぜ、千空、A。いく？テメーらでもよ。人間が空飛べるわけ……」
陽「いや笑わねーよ。俺らもわかんねーし。こんな何もねーとっからどーやって空なんか飛ぶのかはよ！」
スイカ「スイカだってみんなだって、みんな思ってるんだよ。鳥みたく空飛べたらなーって＿＿。そんなの、すごすぎるんだよ……！」
千空「これが俺らが空に跳ぶための、遥かなるロードマップだ！！」
大きな紙を、千空は広げる。
カセキ「今までで一番！ダントツで道のり長そうね。がぜん燃えちゃうわい、ワシ……！！」
Start 麻布→布→Goal 気球
なぜそんな紙の無駄使いをしたのだ、と思わずツッコミたくなるほどの短さのロードマップ。
集まっていた全員が「短か！！！」と叫んだ。
千空「ｸｸｸ、気球様のお手軽っぷりは半端じゃねぇぞ。飛行キット一式畳んで車にでもブチ込めっからな」
ゲン「空飛ぶってそんな気軽な話だったんだ…」
空を飛ぶという行為の手軽さに、ゲンはいつも通り旧現代人を代表して驚いている。
仁姫「麻の布？……そんなんで空気とか漏れちまわないのかい？」
A「1783年にフランスのモンゴルティエ兄弟が熱気球による有人飛行を成功させているが、そのときの気球は麻布製だ」
千空「ナスカの地上絵なんかも気球から見てたっつう話もあるくらいでな。アホほどシンプルに作れる乗り物だ。唯一にして最大のハードルは＿＿＿」
千空が言葉を続けるよりも先に、後ろにいた杠が小さく手を挙げる。
杠「はい。たっっっっっっっっくさんの布、でしょ？」
千空「1mmも気付かなかったわ！そんなとこに偶然にも手芸部がいんじゃねぇか！！」
わざとらしく振り返って笑う千空に、杠が千空の肩のあたりをｸﾞﾘｸﾞﾘと押した。すると先までのわざとらしさは消え、カセキと流れるような土下座を決めた。手を引っ張られ、何故か私も土下座をしている。
千空「科学チームは搭乗部の設計に籠る」
カセキ「必要な道具があったら作るから言ってちょ」
千空「布作りはまるまる任して問題ねぇか？杠手工芸チームによ……！」
ﾊﾟｧｧﾝと軽やかな音が聞こえた。状況がよく分からず顔を上げる。杠と千空がハイタッチをしていたようだ。杠はピースをして
杠「もちろんです！」
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作者名：Saki | 作成日時：2022年12月15日 13時
