goodbye（��） ページ42
「太宰さんは、ヨコハマが好きですか？」
唐突に津島が聞いた。
単純な質問だった。特に、意味も無い。
「嗚呼、好きだよ。朝気怠げに私を起こす太陽も、見え難い星空も、偶にしか現れない満月も、それがヨコハマで見られると言う事実も、全て好きだ」
「……ヨコハマ出身で？」
「いや、実は青森なのだけどね。
でも私、短命県生まれなのに、どうも死ねない」
「大丈夫ですよ。男性より女性の方が平均寿命長いですし」
「それは関係ないんじゃないかなぁ……」
津島は一瞬、きょとんとして、次に、そうですかね？ と吹き出した。
太宰は一時その様子を静かに見ていたが、軈て口を開いた。
「君が自主する本当の理由は、なんなんだい？」
津島は、うーん、と考える様な素振りをしたが、笑っていた。
「云いませんでしたっけ。だから私の両親が、私の懺悔を求めているからで――」
「本当の理由は？ それ嘘でしょう。
白状しなよ」
津島の言葉を遮った太宰の目は、嘘を赦さない様だった。
真実を云わなければ、恐ろしい事になる、とでも云いたげな冷徹な目。
津島は、
「……太宰さんて、よく目のハイライト消えますよね」
元気よくそう云った。
「はい、まあ……両親は、優しい人でしたから。
人の夢、と云うモノは不思議で、でもその殆どが起こり得ない問題なのです。
詰まり、何が云いたいのかと云うと、夢などは、人間の虚無な妄想なのですよ」
嗚呼、詰まり、と彼女は頭を捻らせた。
分かりやすい云い方で云うに越した事は無いのだ。いや、逆にそうすべきなのだが。
「私の夢は、唯私がそうあってほしいと願ったからです。
あの夢は私の下らない妄想。
だから、私が自首する理由は、単に貴方が好きだからですよ」
にやりと津島は頬を緩ませる。
「自分勝手なんですが、貴方を殺すには矢張り、私の手は汚れ過ぎていますから。
それが醜い感情であってもそうでなくても、私は貴方を、汚れぬ綺麗な手で貴方を殺したいの思った。ただ、それだけですよ」
「……私の手もかなり汚れていると思うのだけどねぇ」
津島はくすりと苦笑いした。
「貴方の汚れた経歴は、地下に潜って消されたように、私の汚れた経歴は、自首と云う形で清しくなるのです」
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雑草と花(プロフ) - 切なくて素敵です……！エモい…！ (2020年5月25日 16時) (
レス) id: 157490c8f1 (このIDを非表示/違反報告)
Tukimi(プロフ) - ユナさん» はいっ！ありがとうございます！！(間違ってたらスイマセン…。) (2017年4月27日 21時) (レス) id: 92c302cc08 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - Tukimiさん» 承知致しました。更新する際に紹介させて頂きます。ありがとうございました！ (2017年4月27日 21時) (レス) id: 8f8a6b3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
Tukimi(プロフ) - ユナさん» えっと…。作品のURLは、http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Painted/ ですっ！ここれを載せてくれれば私の作品にとんでいけます！ (2017年4月27日 20時) (レス) id: 92c302cc08 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - Tukimiさん» 全然大丈夫ですよ。というか、お仕事早い……(( (2017年4月27日 20時) (レス) id: 8f8a6b3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年4月5日 14時
