麗しの華 ページ9
審神者見習いside
アタシは昔っから親から愛情を貰わずに育った。
自分で言うのはあれだけどアタシはとっても可愛いし綺麗で頭もいい。
文武両道、才色兼備…まぁ、私を褒める言葉はいくらでもある。
皆チヤホヤしてくれる。
アタシは結構それで満足していたんだ。
けど、両親だけはそんなことしてくれなかったけどね。
愛してくれない。
誕生日におめでとうの一つもない。
アタシは毎年ハンカチやらネクタイやら花やら何やら贈っていたのに…
「ありがとう」じゃなく「置いておけ」だけ…
それでもアタシはグレたり我が儘も言わなかったのは凄いと思う。
でもさ、いつかは良い子な自分は死んじゃうわけで……
ある日、アタシに不思議な力があることが分かった。
人を惹き付ける力多いんだって、アタシはそれ聞いて馬鹿みたいに思ったよ。
もし、本当にそんな力があったらチヤホヤしてくれた皆もその力の言いなりだったんだなぁってさ。
時の政府から審神者にならないかと言われてアタシは喜んだよ。
だって相手は付喪神、つまり神様じゃん。
きっとアタシの力なんてちっぽけで、アタシを本当の家族にしてくれるんだって思った。
でも、親は…抵抗してたっけ
居なくなる時に愛してるとか言われてもね…
きっと全部偽善なんだろうなぁって。
でも、もう大丈夫。今から行く家の皆はアタシを愛してくれる。
「いらっしゃいましたか！審神者見習い様！」
高い塀が目の前にある。
「本日はとてもお日柄がよく、少々は早めですがよくお越しくださいました！」
ついつい楽しみすぎて早く来てしまった。
迷惑かな…？
「あのぉ、聞いておりますかぁ？」
でも、アタシのこの高まる気持ちを押さえられない。
「ちょっと聞いておりますかぁ？！」
よし、乗り込もう。
見つかって怒られたら謝れば良いんだから。
「へぁっ！？」
助走をつけて壁を駆け上がった。
こんなの百点のテストを受けるより簡単だよ。
「ふぅー」
塀の上にたどり着いて一息ついた。
さっきから下が煩い気がするけど楽しみすぎるから進もう。
立ち上がると景色が変わる。
うっすらと白くなる空にぼんやと見える筈の広い和風建築の平屋は、アタシにとって鮮明に目に写った。
「わぁ、すごく綺麗」
「お主、そこで何をしている」
「えと、不法侵入です。」
「ふほーしんにゅうとは何だ？」
「えぇっググってくださいよぉ…あっ」
って、すぐ見つかってるじゃん。
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作者名：サナガラ x他1人 | 作成日時：2019年1月12日 2時
