ねぇ、冬の鳥【刀剣乱舞】 (ページ7)

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塀の上に居た女ページ7

「三日月…爺いの朝は早いな」

「お前とてそうだろう」

「あぁ、変わりない」

鶴丸は後ろも見ずに見習いと思われる女に刀を向ける。

それに三日月はいい顔をしないようだった。

しかしだ、何故この女はいるのだろう？

なにか知っていそうなのは女と三日月だが、女は宛になりそうもない。

『三日月、一つ聞きますけどこの方は？』

「あぁ、主か。いやな、何やら塀の上に居たから下ろしてやったのだ。したら本丸に魅入ったのか回りたいと言ってな、、まぁつまりは案内の途中だ。」

鶴丸の額に筋が浮かぶ、分からなくもないけど目を伏せて止めろと促した。

鶴丸は仕方なさそうに刀を納めると私の元に近付いた。

珍しく甘えたそうな顔をしていたが手で制止、いまだに座っている女へと目を向けた。

『貴女は誰でしょうか？』

「えっ？」

私は必死に溜め息が出そうになるが噛み殺した。

『私はこの本丸の審神者です。貴女は？』

「えっあっアタシです、よね？」

辺りをキョロキョロとして自分かどうかを確かめている。先程から見ている者は一人しか居ないと言うのに…

『ええ、そうですよ』

「さっ審神者見習いです。半年ほどよろしくお願いします」

抜けている。思ったよりアホっぽい。。

『何故、此処にいるのでしょうか？』

「えっと、早く来すぎて…塀も低かったので、つい」

あぁ、礼儀知らずとは驚きな事だ。

鶴丸より驚かされていると思う。

『あのですね？何故私の部屋の前に居たのでしょうか？』
　

「一番景色が綺麗だと聞いて…」

申し訳なさそうに眉を下げた。
本当にそう思ってるのかは置いておいて。

『ここは私の部屋ではあって、貴女の部屋ではありません。』

「そうですよね…はい、すいません。」

本当に本当に申し訳なさそうに見えてくる。
あれよ、あれあれ、駄犬みたいな…

あぁ、しかしだ、それにしてもだ。

『三日月、誰の許しを得て彼女を入れたのですか？』

「誰の許しと無くとも俺が信じたのだ、それに困っておった。困ったものに手を差し伸べるのは『常識』と言うやつだろう？」

聞いて驚いた。

この三日月は常識を間違えている。

外ならばそれがいいと思うが、普通知らぬ者がいたら話を聞いて、場合によっては止めて客室に止めるのが得策なのに。

塀の上で見付けた妖しい奴によくもまぁ本丸を案内できたものだ。