見習いと鶴 ページ11
鶴丸国永side
一人と一振りで長い廊下を歩く。
こんなつまらない廊下もあの人と歩けば楽しくなるのだろうけど…仕方ない。
やりたいことは色々ある。
あの人と朝に朝を告げて、一緒に並んで廊下を歩く。
そのあと短刀に囲まれて微笑む顔を見て、そっと離れて眠たそうに朝餉を食べるところを見る。
なんだか見てばっかだな。
だが、それが一番の幸せなんだ。
「思ったのより素直なのが来たな…」
「なに？」
何でもないと言って先を歩く。
「なぁ、見習いさん」
「はっはい何でしょうか？」
早足で階段を上がり二階へ行く。
二階へはある程度の力がないと行けないのだが…これはもしもの事が無いようにとあの人が言ったことだ。
現に三日月はコイツに魅入られているが…
だが、正直に言えば一階の物置部屋を半分開けた所でもいいと思っている。
こんな良いとこ勿体ない…
「この本丸に興味や好意に思うのは良い、ただ節度や常識を持って考えてくれ。あの人が止めなかったら君も三日月も切っていた。」
「はい、それは分かっています。それは本当に申し訳ございませんでした。」
見掛けは申し訳なさそうだが内心どうだろうな。
興味はない、どうせ人の子だ。
「…あぁ、それと無駄に霊力を垂れ流しにするな。はしたないぞ」
「そっそうなんですか！？ッすいません！！」
そうだろうと思っていたがやはりそうだったか…
深くため息をする。
「漏れている水を止める様に意識を集中させて見るんだ…そうそう、その調子」
見習いは無意識に霊力を溢れさせていた。
それほど多いわけではないが質が良すぎる。忠誠心がまだ確りとしていない未戦闘の奴らは忽ち虜になるだろうな…
「あっありがとう…随分広い本丸だよね」
話題が変わった。きっと説教じみたことは嫌いなんだろうな…
だが、あの人の事の作った本丸を褒められるのは悪い気はしない。
「まぁな、此処には千以上の刀がいるから当たり前だ。それにこれ程大きい本丸は中々いないだろう、俺たちの主は霊力が多いからな」
俺たちの主は質が中の上だがなに分量が桁違いだ。
今まで顕現した刀を保てるのも、この本丸を拡張したりするのが早いのも全てその膨大な霊力でやっている。
例え真名を言おうと神隠しなんかできない、寧ろ自分が捕らわれてしまうだろう。
話が長くなったな、とちょうど部屋に着く。
中に入るように促すと大人しく部屋に入り、俺を見て
「ありがとう！えっと…鶴丸！」
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作者名：サナガラ x他1人 | 作成日時：2019年1月12日 2時
