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あべこべラブレター 『今剣』 ページ3
初めて会ったのは
緑色の空の下
初めて一緒に出掛けたのは
赤色の海の砂浜
初めて握ったのは
青色の暖かい手
初めて聞いたのは
紫色の優しい声
初めての人の身体で
全部あなたが初めてだった
あなたはこの季節が大好きで
ぼくもこれが大嫌い
雲が全然隠してくれないから
熱くて焼けてしまいそう
虫の声がずっと響いて
五月蝿くて頭が割れそう
いつの間にかあなたが目の前に立っていて
すごく怒った顔をしていた
なのにすごく悲しそうだった
何故かは分からない
好きだと言っていた花を持ってきた
嬉しそうな顔が憎かった
懐に隠した短刀を
今にも突き刺してしまいそう
ぼくを見つめるその瞳が
後ろの空と同じだった
その色が気持ち悪くて
早く離れて欲しかった
知らないうちにあなたは染まっていて
肌が粟立つように嫌悪した
綺麗だったあなたはどこにもいなくて
もう好きになんてなれなかった
こんなときでも虫の声は五月蝿くて
ぼくの思考を邪魔してくる
視界の端に見える黒色の花が
ぼくの心を埋めてくれた
ぐるぐる回って廻って
何が何だか分からない
何も、知らない
ああ、暑い熱
い
苦
し
い何
で
──最後に見たのは青い顔
「ぼくのあるじさまを
かえして?」
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作者名：ティラミス信者 | 作成日時：2018年10月27日 0時
