マフィアになってしまいました【文豪ストレイドッグス】

十一話 ページ13

「…」


さっきから芥川さんは何も話してくれない

『あの…今日いい天気、ですね』



やっとなことで絞り出した言葉はこれ

1日がもう終わるこの時間に言う事ではない


『…最近寒いですよね、風邪ひかないようにしないと…』


「…」


『あ、おでんとかいいですよね、美味しいし…』

「無駄口を聞くな」


『ごめんなさい』



こうも貴方が嫌いですアピールされたら悲しいよ私

何も言えなくなってしまった


てか


芥川さんの足速い…！

いや、身長高いし足長いなぁとは思っていたけど

私さっきから小走りなんだけど…！


「…貴様」


『え、どうしました？』


やっと話しかけてもらえた それだけでこんなに嬉しくなるのは初めてだ


「明日からどこで働く」


『えっと…中原さんの側近だそうです…』


しばらく一緒に歩いたけれどまともな会話のキャッチボールはこれっきり



「…入れ」


『え、ここは』


「口答えをするならば…」


『わぁ！？入ります入ります！』




芥川さんの後をついてきてやってきたのは

私が住んでいたアパートよりずっと綺麗なアパート


こんないいところに住んでいいのだろうか





『じゃあ、失礼しまー…ん？』






なんてこった

扉を開けたらまぁびっくり

素晴らしい汚部屋






『…これは一体…』



「今からここが貴様の部屋だ」



それだけ言って背を向ける芥川さん


『え、これどうなって…』



キッチンは水垢だらけ

リビングにはいろんな動画が散乱しており

荒れている…


私にここで暮らせと？


ちょ…ちょっと待ってくれ


芥川さんの方を振り返ると


すでに隣の部屋に入っていた


え、芥川さんは隣の部屋なの？




そしてもう一度自分の部屋になるであろう空間を見た



ほんとそろそろ泣いていいと思う

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