紅一点になり損ねた女 (ページ25)

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第23話ページ25

佐野「明司はどうだ？」

基本うちでは相談役の意見が通ることが大半だ

イザナくんのことを全く知らないであろう武臣にはどう映っているのだろうか

武臣「俺はどっちでも構わない。もしもうちに招くのであれば、Aの管理下に置かれるのであることを条件にしたい。」

「首領、今の梵天に黒川を入れることによって不景気になるとは私は到底思えません。また、九井も同意見になると思います。黒川自身の人脈も含め申し分ないかと。」

佐野「…」

首領は静かに視線を机に落とした

そこにはおそらくイザナくんの経歴が記された資料があった

私達が医務室に行ってる間に調べたのだろう

警察ともズブズブの関係の私たちにとっては1人の経歴を調べるなんて、朝飯前だ。

佐野「イザナはどうしたい？」

イザナ「この感じどうせここで断れば殺されんだろ？」

佐野「当たり前だ。俺らの素性、アジトを知られた以上ここからは生きて帰れない。」

イザナ「Aもいるんだろ？」

「え？うん。私はここで働いてるからね…」

イザナ「なら、入ってやるよ」

佐野「決まりだな。兄貴(イザナ)、ようこそ"梵天"へ。」

私がここに来た時に聞いたセリフだ

あの時はまさかこんな幹部クラスになるとは到底思ってなかった

しかも、近い将来昔からの親しい仲であるイザナを迎えるだなんて…

あと、それが現実になるなんて…

イザナくんが生きてること自体夢なんじゃないかと錯覚する程だ

「…また一緒に仕事できるねイザナくん」

イザナ「…だな。」

鶴蝶「…」

この2人の間に流れる微妙な空気感をどうにかしたいが…

蘭「まさかまた大将と過ごせるなんてな」

そんな沈黙が流れる二人の間に入ったのは蘭ちゃんだった

竜胆「何よりも、生きてること自体びっくりだわ」

イザナ「誰にも知らせてなかったからな」

「…まぁ私は風の噂程度でしか聞いてなかったかな。正直信じてなかったけど…」

鶴蝶「…イザナが生きてて、安心した。」

イザナ「…そうか。俺も鶴蝶(下僕)が生きてて良かったよ」

梵天Ｎｏ．3であるかくちゃんのことをこの先も下僕だなんて呼ぶのはイザナくんだけだろう

あと、それが許されるのもね

「何だかんだ仲良しだもんね。2人とも」

蘭「またあの頃の2人が見れるのか」

鶴蝶「そうだな」

「いいじゃん。私も皆のこの雰囲気好きだよ」

第一幕 fin.

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