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陽岬・過去編6 ページ14

歌仙「主……?」

壊れたように笑う彼女に声をかける

笑っているはずなのに、酷く冷たいのだ

歌仙「……チッ」

ずっと言っていたのに

ふわりと抱きしめ、

これを知られないようにするための策を考える

感がいい奴らはこの本丸に多い

特に天光丸、後藤は

僕が呼びに行って遅い場合はあいつらが来るだろう

それまでにどうやって戻す?

時間はもうないに等しい


陽岬「んふふ!ねェ?歌仙?」

そう、甘い声で言ってくる彼女の頭を撫でる

陽岬「ウーン??歌仙??」

歌仙「はぁ……君は全く、手がかかる……」

陽岬「……???」

━━私さ、独りになりたくないんだ━━

いつの日か君が言っていた言葉が蘇る

歌仙「何回も言ったのにすぐに忘れるのは雅じゃないよ、主?」

ずっっっと、会った時から、君の過去を教えて貰った時からずぅっっっっと、僕は君に伝えていたのに、こうも何度もなると僕も傷つくよ……





陽岬「私って、ダァレ?」


は???


歌仙「えっと……主は主だよ?」

陽岬「主ハ、私?」

歌仙「そうだね、」

陽岬「じゃァ、主でいれば私になれる?」

歌仙「いつも通りに、自然体でいればいいんだよ?」

陽岬「自然体な、ワタシって?

いつも通りな、アタシッて?なぁに?」

歌仙「そうだなねぇ……自然体って、考えてやるもんじゃないんじゃないかい?

いつもの通りって、いつの間にか出来ているものじゃないかい?」


陽岬「わかんない……」

歌仙「そうだね、僕もわからない……でも、」

一緒に考えていこう?きっとみんなとなら、分かるよ……何を抱えてても、きっとみんなとなら、あの、優しい子達となら


陽岬「それは……時間がかかるデショ?」

歌仙「……え、?うん」

陽岬「時間が無い……私には…」

歌仙「……え?」

陽岬「私は!!あなたたちと一緒にいたかった!!!!!!ずっと!一緒に!!!!!」

急に狂った様に泣き叫ぶ陽岬、

それを聞いてか、天光丸達も現れる

一瞬で集まる

陽岬は、やってしまったという顔をする

酷く青ざめ、焦点があっていない

歌仙「主!?!!」

糸が切れたかのように力が抜ける主をみて

短刀達は、泣き始める

保護者組たちは、それをなだめるのに必死だ

みんなが、ざわめく

もう収拾がつかない程に

歌仙「みんな!聞いてく……」

ザワザワ

歌仙は狼狽える

自分はこういう時いつもどうやって……!!

天光丸、後藤の視線が合う

天光丸「……はァァァ……」

後藤「………」

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作者名:長女 | 作成日時:2019年10月23日 22時

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