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俺は目を覚ました。
部屋には皆さんが集まっていて、俺を囲むように座っていた。
沖「A君っ...!」
貴「おき...た?」
沖田が抱きついてきた、離さないと言わんばかりに強く。
皆さんは状況がうまく理解できていないみたい。
それもそうか、俺は男だと思われてる。
傍から見れば男同士が抱き合ってるようにしか見えない。
沖「良かった...本当に良かった...。」
貴「沖田、ありがとう。」
俺はそっと腕を解き体を離した。
沖田の顔は心配そうに歪んで、今にも泣き出しそうな目をしていた。
貴「大丈夫、俺は大丈夫だから。」
沖田にそう言い皆さんに向き直った。
貴「俺のこと、そろそろ話さないといけませんね。」
千「A、いいの?」
貴「あぁ、いつかは話さないといけないと思っていたから。それが今だ。」
これ以上隠しきれないし、隠すのも良くないと思う。
俺は全てを話し始めた。
貴「俺...私の名前は雨宮A、女です。」
土「なんだと?!」
貴「私は東国を守る神垣の巫女でした。」
永「神垣の巫女?なんだそりゃ。」
貴「特殊な力を持った巫女の事です。千里眼を持っていたり、結界をはり村を守ることが出来ます。神の申し子なんて言われますが神垣の巫女も羅刹と同じで力を使えばその分寿命を削る、だから皆短命なんだ。」
原「まじかよ...。」
それからも私は話し続けた。
姉を自分の手で殺したこと、右腕のこと、羅刹から正統な鬼になったこと。
でも、どうしても労咳のことは言えなかった...。
怖かった、皆さんに避けられないか、離れて行ってしまわないかが...。
話を聞き終えた皆さんは何とも言えない顔をしていた。
でも、一緒にいていいと言ってくれた。
千「良かっね、A。私はそろそろ失礼するね、また会いましょう。千鶴ちゃんもまたね。」
貴「あぁ、ありがとう千。」
雪「うん...!」
千が去ったのを機に、皆さんもぞろぞろと部屋を出ていった。
その中で沖田だけが動かずそのまま残っていた。
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作者名:咲耶 | 作成日時:2017年4月10日 17時