薄桜鬼～私の生きる理由～ (ページ16)

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千鶴side
松｢結論から言おう。お前さんの病は労咳だ。｣
え...？労咳？雨宮さんが...労咳...？
2人の話はどんどん進んでいく。
その一つ一つが頭を殴る様に私に降り掛かってきた。
雪(父様が、雨宮さんに変若水を...？神垣ﾉ巫女？命を削る...？)
松本先生が去った後も、私は動けずその場に立ち尽くしたまま。
貴｢出ておいでよ。お嬢さん。｣
まるで私がここにいるのが、わかっている様な口ぶり。
雪｢...。｣
貴｢こっちこっち。｣
私が出ていくと自分の隣をポンポンと叩いた。
雪｢失礼します…。｣
貴｢もしかして、今の話本気にした？こんな冗談みたいな話、誰にも言わないですよね？...もし誰かに言うつもりなら、お嬢さんでも許しませんよ？｣
雪｢なんで、怒らないんですか？｣
貴｢え...？｣
雪｢私のせいで羅刹になってしまったのに、なんで怒らないんですか？！｣
貴｢どうしてお嬢さんのせいなの？｣
雪｢それはー｣
貴｢俺に変若水を飲ませたのは綱道だし、彼がお嬢さんを守りたいっていう気持ちは親心として当然。どうしてお嬢さんのせいなの、何も悪いことしてないでしょ？｣
雪｢でも...｣
貴｢俺がこう言ってんだ、気にしないで。｣
雪｢それでも...、無理をしないで命を大切にして下さい！｣
私がそう言うと雨宮さんは少し険しい顔になった。
貴｢無理をしないで、命を大切にしてどうするの？ただ長生きしろって言うのか？俺は皆さんを守る事しか出来ない、それが無くなったらなんの意味もないんだよ！だから...！......ごめん。｣
それまでの勢いがいきなり切れ、雨宮さんは｢ごめん｣と言った。
貴｢お嬢さんはそんな事わかってて、俺に長生きしろと言うんだな。...ごめん。｣
もう一度｢ごめん｣と言うと、穏やかな顔で言った。
貴｢それがお嬢さんの願いなら、俺は少しでも長生きするよ。｣
雨宮さんは立ち上がると去っていった。
その姿は儚く、今にも崩れてしまいそうで...。
その一方では強く決意をした、そんな風に見えた。