薄桜鬼～私の生きる理由～ (ページ14)

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風｢なるほど、面白い。それにお前の血、鬼の血が流れているな？｣
貴｢...鬼の血？そんなはず、...だって俺は...。｣
風｢羅刹、と言いたいか。｣
貴｢...。｣
風｢お前、右腕の呪いの事を知らぬのか？｣
貴｢これは、俺を守ってくれていると母が。それ以上は知らない。｣
風｢守る、か。これは鬼ならぬ者を正統な鬼にかえるもの。羅刹の力から守る、という点では合っているのかもしれんな。｣
貴｢どうー｢A！！｣副長、皆さん。｣
風｢ふん...田舎の犬共が来たか。｣
雪｢雨宮さんっ！｣
俺が捕まっていては邪魔になる。
力が緩まったすきに腕を振り払い、着物を直すと体制を立て直した。
それを合図のように戦いが始まった。
俺はお嬢さんへ駆け寄り様子を見ていた。
しばらくして何人か集まってくると、鬼と名乗る男達は闇に消えていった。
俺とお嬢さんは屯所へ戻り、お嬢さんは平助の元へ向かったので、俺は沖田のところに行く事にした。
沖｢...あれ？A君。｣
俺が広間に行くと、沖田が刀の手入れをしていた。
沖｢どうしたの1人で。さてはヘマして土方さんに追い返されたとか？｣
貴｢多分、似たようなものだ。｣
沖｢...なにがあったの？｣
俺は二条城での出来事を話した。
鬼と名乗る男に覚えがあるのか、沖田は無言のまま。
ただ、刀の柄を握る手が力の入れすぎで白くなっていた。
沖｢あいつらが来るとわかってたなら、意地でも行くべきだった...。｣
俺が自分の事以外を話し終わった時、沖田はぽつりとそうもらした。
貴｢沖田、傷が治っていないのに無理はしないで。｣
沖｢君に怪我人扱いされるほど酷くないよ。土方さんは大袈裟すぎ。｣
貴｢それでもーっごほ、ごほっ...！｣
沖｢A君？！｣
その瞬間、俺の世界から色が消えた。
鬼が言った言葉もこの一瞬は消えて、ただ、その赤色だけが俺の心を塗りつぶした。
沖｢ちょ...しっかりして！今、誰かー｣
貴｢だめ！｣
沖田の言葉に強く反対を示した。
口元に滴る血を拭い、沖田を見つめる。
貴｢今見たことは忘れて。...大丈夫、ちょっと喉が傷ついただけ。｣
沖｢でも今の...｣
俺は笑顔で、拒絶する意思を向ける。
沖｢A君...。わかったよ、誰にも言わない。でも今日は布団で大人しくしてて、僕も大人しくしてるから。｣
貴｢わかった。｣
沖田に返事をし、自分の部屋に向うと言われた通りに布団に潜った。