◯ ページ37
.
瀬崎「 それを永瀬が知ったのは、
母親が亡くなって1年後…。1年もの間、
永瀬は自分の母親だけを信じて迎えに来てくれると
思って待ってたんです。」
私も家族を失ったけど永瀬さんの気持ちは
とても計り知れないものだった。
瀬崎「 永瀬が変わってしまったのはその後です。
明るくて暴力を受けながらも母親を守ってた
永瀬は、いわゆる感情欠如と言いますか。」
サイコパスになる1歩手前だったという。
瀬崎「 母親の死を知って1年後、
警察に逮捕された父親が仮釈放中に
永瀬を施設から無理やり連れて帰って、」
「 仮釈放で、？」
瀬崎「 この前ニュースでやった小学生人質事件
知ってますか？あの人質だった小学生は
当時の永瀬なんです。」
「 え…、うそ…、」
だからあんなに血相を変えていたの？
瀬崎「 永瀬の首元にある切り傷、
見た事ありますか？」
「 少しだけ。」
瀬崎「 あれは、あの時酒に酔った父親が
永瀬の首元に当てていたナイフで切りつけた痕なんです。首の傷も消えませんが、永瀬の傷はもっと消えません。」
瀬崎さんは、永瀬さんが私の元に来て
変わったと言う。
明るくて素の永瀬さんに戻りつつあると。
瀬崎「 永瀬は絶対見せないと思いますが、
永瀬の手首にある傷跡、分かりますか？」
それは初耳だった。
瀬崎「 楕円状の火傷のあとが3つあるんです。
あれは…、父親の母親に対する見せしめと言いますか…、母親の帰りが遅くなる度にタバコの火を押し付けていたんです。」
あまりにも酷くて、涙さえも出なかった。
背負いきれない過去があったのに、
軽々しく心の負担を軽くしたいなんて
言ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 363人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫暢(プロフ) - 卵さん» 初めまして、本作に目を通して下さってありがとございます:-) そのお言葉を励みにこれからも頑張ります。 (2019年5月14日 18時) (
レス) id: 4079e9622e (このIDを非表示/違反報告)
卵 - こんにちは、作者さんとは初めましてですね！この作品とても面白いです！これからも、読ませていただきます！更新頑張ってください！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: 4c39965e2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫暢 | 作成日時：2019年5月13日 2時
